南コーチが鈴木愛の強さのヒミツを明かす


ツアー仲間に祝福される鈴木愛(手前、左後方はキム・ハヌル)

 ◆報知新聞社後援 女子プロゴルフツアー今季メジャー最終戦 LPGAツアー選手権リコー杯最終日(26日、宮崎・宮崎CC)

 愛との出会いは小5の時。2015年まで11年間指導した。当時から体は小さかったが、誰よりも負けん気が強い。中2で初出場したツアーの練習ラウンドで「先生に負けた」と悔しくてワンワン泣くんですよ。すごいのは必ず大人と同じティーから勝負すること。

 昔から教えたことを地道にやり続ける。新しいことはあまりしないタイプだが、プロ合格翌年の14年2月、「このままでは通用しないからフェードを教えて」と頼んできた。もう言い出したら聞かない性格。同年序盤はグリーンに乗らず乱打戦。おかげでアプローチがうまくなり、守りのゴルフも覚え、ボールを自在に打てるようになった。

 今ではパットの名手といわれるが、愛がすごいのは他の選手のパッティングの音を聞き分けられること。成田美寿々と回った後、僕に「美寿々ちゃん、練習グリーンではいい音してなかったけど、試合ではいい音してた」と言った。どう打っているかもよく観察している。もともとは僕が昔パットが下手だったためボールの音と回転しか見なかった。愛は「カーン」という乾いて伸びるいい音を響かせる。ストロークは独特で、パターを右に押し出してオーバースピンをかけて重い球を打つ。普通の指導者ならまっすぐ打てと直したと思う。

 ジュニアの頃からかわいそうなくらい厳しく育てた。「怖くて何回もやめようと思った」と言うほど、僕の顔色ばかり見ていた。勝ち気な性格の分、ミスした時の態度に出る。僕にどなり散らされ、ヒクヒク泣きながら棒立ちですけど、決して目はそらさなかった。プロで活躍して「稼ぎたい」から「一番になりたい」に意識が変わった。愛情を注いだまな弟子が正真正銘、日本一の選手になり、心からうれしい。(ツアープロコーチ、構成・岩原 正幸)

 ◆南 秀樹(みなみ・ひでき)1974年2月21日。香川・高松市生まれ、43歳。14歳からゴルフを始め、香川西高を経て、2004年にプロ入会。丸亀市で「ミナミゴルフアカデミー」を主宰。家族は妻と1女。183センチ、75キロ。教え子は成田美寿々、金田久美子、森井菖、江沢亜弥、篠原まりあ。

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