【オーガスタ(米ジョージア州)3日=榎本友一】米男子プロゴルフツアーのメジャー今季初戦、マスターズは5日から4日間、当地のオーガスタナショナルGC(7435ヤード、パー72)で行われる。マスターズ通算4勝で15年大会以来の出場となる元世界ランク1位のタイガー・ウッズ(42)は3日、同3勝のフィル・ミケルソン(47)=ともに米国=と大会史上初めて9ホールの練習ラウンドを行った。4度目の腰の手術から復帰したスーパースターは大ギャラリーを引き連れ、13、15番と2つのパー5でイーグルを奪うなど絶好調。史上2位の通算5勝目への期待が膨らむ。
多くのパトロン(観客)を引き連れて、米ツアー通算79勝のウッズが3年ぶりにオーガスタへ戻ってきた。通算43勝のミケルソンらとイン9ホールを回り、15番で第2打をピン手前1・2メートルへ運んでイーグル。隣接する16、17番の観客からも地鳴りのような大歓声が上がり「とても興奮しているよ」と感慨にふけった。ミケルソンも負けじとグリーン奥からのアプローチ練習でチップイン。2人のスーパースターは笑顔でグータッチを交わした。
かつては確執がうわさされた長年のライバル。マスターズで練習ラウンドをともにしたのは初めてで、28歳のロリー・マキロイ(英国)が「こんな日を見られるとは思わなかった」と驚いたほどだ。池越えの16番では、同組で回ったフレッド・カプルス(米国)、トマス・ピエルテス(ベルギー)の4人で横一列に並んで水切りショットも披露した。ウッズは「けがで離脱していた時も、フィル(ミケルソン)はとても心配してくれた」と友情に感謝した。
ここ数年は起き上がったり歩いたりするのも困難だった。4度にわたる腰の手術を経て復調し、公式会見では「ここにいられて本当にうれしい。今は7、8年ぶりにいい状態だ」と穏やかな笑みを浮かべた。今年1月に約1年ぶりに米ツアーに出場し、3月のバルスパー選手権では優勝争いを演じて2位に入った。「より強く球をたたけるようになった」と豪快さを取り戻した。
21歳だった1997年大会で2位に12打差をつける圧勝で史上最年少優勝を飾った。大会4勝は帝王ジャック・ニクラウス(米国)の6勝に次ぐ歴代2位。過去78ラウンドの平均スコアは70・86で、獲得賞金736万1806ドルもミケルソンに次ぐ2位だ。
かつて世界ランク1位に史上最長の683週も君臨した絶対王者も、昨年は1000位以下まで落ちる屈辱を味わった。現在は103位まで再浮上。今大会では86年の世界ランク制度発足後、100位以下の優勝者はいないが、そんなジンクスもはね返しそうな雰囲気を秘めている。「これまでの経験が助けてくれる」。プレーオフ19ホールに及んだロッコ・ミーディエート(米国)との死闘を制した08年全米オープン以来のメジャー15勝目が、完全復活の証しとなる。
◆ウッズのマスターズ4勝
▼97年 プロ転向後メジャー初出場。通算18アンダーの大会最少スコアで、2位のトム・カイト(米国)に大会史上最大の12打差で圧勝した。21歳3か月での優勝は最年少。
▼01年 2位のデービッド・デュバル、3位のフィル・ミケルソン(ともに米国)との接戦を制し、前年6月の全米オープンから史上初のメジャー4連勝。グランドスラムをもじって「タイガー・スラム」と呼ばれた。
▼02年 史上3人目の大会連覇。最終日を首位タイで出て、ライバルが崩れる中71にまとめた。当時の大会最多を更新する10ラウンド連続アンダーパーを記録。
▼05年 最終日の16番で劇的なチップインバーディーを決め、通算12アンダーで並んだクリス・ディマルコ(米国)をプレーオフで退けた。02年の全米オープン以来11大会ぶりのメジャーV。29歳3か月で史上最年少の4勝目。