23歳・稲森佑貴、母の日に悲願初V贈る!2差2位「風と仲良く」FWキープ率1位


18番で第2打を放ち、歩き出す稲森佑貴。通算4アンダー2位に順位を上げた

 ◆男子プロゴルフツアー報知新聞社後援メジャー第1戦 日本プロ選手権 第2日(11日、千葉・房総CC房総ゴルフ場=7324ヤード、パー72)

 8位から出たツアー未勝利の稲森佑貴(23)=フリー=が4バーディー、3ボギーの71で回り、通算4アンダーで2位に浮上した。2015年から今季までフェアウェー(FW)キープ率1位の“曲げない男”は予選2日間でも、全体1位の同85・71%の安定感で難コースを攻略した。強風でラフにつかまり苦戦する選手が続出する中、ショットの正確性を生かした。石川遼(26)=カシオ=はイーブンパーの18位で決勝ラウンド(R)に進んだ。

 「風と仲良くなること」―。曲げない秘訣(ひけつ)をこう言い切る稲森のドライバーショットが、強風の吹く大舞台でさえた。FWが狭く、ラフが難しいコースセッティングは大歓迎。「みんな苦労してくれると、自分が有利になり頑張れる」。風を読み、風を利用し、FWを外したのは2度だけ。「曲げたら地獄」と警戒したコースを「多少飛ばなくても、FWに打てばいい」と攻略。2位浮上に胸を張った。

 昨年12月のメジャー、日本シリーズJTカップ(東京よみうりCC)で、名物ホールの難関18番パー3で第2日にチップインバーディーを奪い、5位と活躍。この日は安定したティーショットから前半17番で第2打を2メートル半、18番パー5は第2打を3ウッドで2オンさせて連続バーディーと、メジャーでの強さを発揮した。主催の日本プロゴルフ協会(PGA)・倉本昌弘会長(62)が「FWに行けばご褒美があるようなセッティング」と語るコースで、稲森の特長は大きな武器となる。

 ショットを曲げない男は、真っすぐに家族を思う。会場には6歳でゴルフに導いた父・兼隆さん(67)、母・友加里さん(51)が鹿児島から応援に訪れた。最終日(13日)は母の日。「初優勝をプレゼントしたい」と稲森。プロ入り前から、16年まで父と2人でキャンピングカーで全国を転戦。「お母さんを家に残して、さみしい思いをさせたから。母親思いなんです」と父は、優勝でお返ししたい息子の心情を察した。息子は「家に帰るとおいしい『白あえ』を作ってくれる」と感謝する母に、約50万円のマッサージチェアをサプライズで贈ったこともある。

 決勝Rで2打差の首位を追う。勝てば5年シードも手に入るため「優勝して、海外ツアーも経験したい」と意気込む稲森。生命線のショットを武器に、母の前で頂点をつかむ。(岩原 正幸)

 ◆稲森 佑貴(いなもり・ゆうき)1994年10月2日、鹿児島市生まれ。23歳。実家は練習場。鹿児島城西高2年時の2011年、16歳でプロテストに一発合格。ツアー最高成績は14年ダンロップ・スリクソン福島オープン、15年ブリヂストンオープンの2位。昨季賞金ランク20位。房総CCは下部ツアーで3度経験。169センチ、68キロ。

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