男子プロゴルフの国内シニアツアーのファンケルクラシックは17日から3日間、静岡・裾野CC(7009ヤード、パー72)で75人が参加して行われる。アマチュア枠で大会に初出場するプロ野球・巨人の原辰徳前監督(60)=ファンケル=は16日、プロアマ戦に参加。10番パー5の第1打では同組で回った前年覇者の米山剛(53)=を置き去りにする豪快ショットを披露するなど、周囲を驚かせた。
巨人で382本の本塁打をかっ飛ばし、監督としても7度のリーグ優勝、3度の日本一に導いた。プロ野球界で輝かしい実績を残した原前監督も裾野CCのティーグラウンドに立つ以上、一競技者の「原」として挑む。「五輪精神で戦います。参加することに意義がある、ですよ。強い責任感やプライドはない。チャレンジャー精神一本でやります」と、目を見開いて意欲的に話した。
原は7月28~29日に熊本・コスギリゾート阿蘇ハイランドで行われた熊本・阿蘇シニアオープンでシニアツアーに初参戦し、通算2オーバーの59位だった。最終ラウンドの1番パー4(328ヤード)では1オンに成功し、イーグルを奪うなど成績以上のインパクトを残した。「前回は2日間競技でしたが、ファンケルクラシックは3日間競技。きょうのプロアマ戦を含めれば4日連続のゴルフになります。スタミナも必要です。実は今大会に向けて一生懸命練習していたら、少々、腰を痛めてしまった」と苦笑いしながら話した。
この日、18ホールを同組で回った米山はゴルファー原の能力を高く評価する。「ドライバーの飛距離は僕とほぼ同じ。270~280ヤード。あおられましたよ。ショットがしっかりしているし、パットもうまい。トップアマチュアの実力です。もちろん、プロ野球の大スターだったというオーラがあります」と前年覇者は太鼓判を押した。
第1日はレギュラー48勝、シニア5勝の中嶋常幸(63)=静ヒルズCC=、開催コースと隣接した静岡・御殿場市出身の人気プロ芹澤信雄(58)=TSIグルーヴアンドスポーツ=と同組で回る。野球界とゴルフ界のレジェンドのガチンコ対決は、双方のファンに注目されることは間違いない。中島は冗談を交えて対戦の楽しみを明かす。「昔のオレだったら『かかって来い!』と言えるけど、今は『お願いだから忖度(そんたく)してね』という感じ。原はいいプレーを見せてくれるでしょう。御殿場の帝王(芹澤)もいるし、楽しく回りたい」と笑顔で話した。
原は目標の順位やスコアは明かさない。「結果はどうなるか、分からないが、出た結果が僕のベストです」と自然体を強調。今大会は「長年、お世話になっている」と感謝する「ファンケル」の所属として戦う。「僕の中では今回が最後です。本が一冊書けるくらいの戦いをしたい。そのときは報知で出版してください」とリップサービス。“若大将”は、バットからクラブに持ち替えても、やはり、爽やかだった。