20歳・金谷拓実、大学の先輩・松山英樹以来のアジア制覇 マスターズ&全英出場権獲得


優勝した金谷拓実は、マスターズと全英オープンのフラッグを手に笑顔を見せた(カメラ・榎本 友一)

優勝した金谷拓実は、マスターズと全英オープンのフラッグを手に笑顔を見せた(カメラ・榎本 友一)

 ◆男子ゴルフ アジア・パシフィックアマチュア選手権 最終日(7日、シンガポール・セントーサGCニュータンジョンC=6847ヤード、パー70)

 【セントーサ島(シンガポール)7日=榎本友一】2打差3位で出た世界アマ2位の金谷拓実(20)=東北福祉大2年=が7バーディー、2ボギーの65で回り、通算13アンダーで逆転で初優勝を飾った。2010、11年の松山英樹(当時・東北福祉大)以来となる日本人2人目のアジア制覇で、来年4月のメジャー、マスターズと同7月の全英オープン出場権を獲得。アジア大会男子個人&男子団体2冠の中島啓太(18)=代々木高3年=ら2人が2打差の2位だった。

 7年前の先輩・松山と同じ南国で、2枚の夢切符をつかみ取った。最終18番。金谷は1・5メートルのパーパットを沈めると右拳を2度突き出した。グリーン脇で中島らアマ日本代表の同僚に水をかけられる手荒い祝福を受け、恩師の阿部靖彦監督(56)と抱き合うと男泣き。「最後のパットを決めるまではずっと緊張していました。小さい頃からマスターズに出ることが夢だったので、うれしいです」

 仲の良い2歳下の中島との一騎打ちを制した。首位に並んで前半を折り返すと終盤、3連続バーディーで勝負を決めた。15番で4メートルのバーディーパットをねじ込み、単独首位に躍り出ると、16番も2オン2パットで伸ばし、逃げ切った。「啓太はゴルフに対する姿勢とかがすごい。イライラを出さずに冷静にプレーすることを学んだ」と、切磋琢磨(せっさたくま)する盟友に感謝した。

 スタート前。7年前に松山をシンガポールで頂点に導いた恩師から、同じ言葉で激励された。「この大会だけは優勝じゃないと意味がない」。30度を超す厳しい暑さの中、18ホールついて歩き、要所で「ナイスバーディー」などと声援をくれた恩師の前で、「気持ちを落ち着かせてプレーできました」。松山と同じ最終日逆転Vで夢切符をつかんだ。

 ホールアウト直後、サプライズが待っていた。松山から祝福の電話が入り、「おめでとう。オーガスタで、一緒にプレーするのを楽しみにしているよ」などと声をかけられた。日本人では2人目のアマでのマスターズ出場に、「出るだけでは意味ないのでしっかり予選通過して、松山選手のようにローアマを目指して頑張りたいと思います」。

 休む間もなく11日開幕の国内メジャーの日本オープン(横浜CC)に出場する。昨年は優勝争いしながら2位に終わった大会。「去年は悔しかった。あそこから始まりました」。飛距離を伸ばすために1日5食で約10キロ増量して73キロに。一回り大きくなった姿で雪辱に挑む。(榎本 友一)

 ◆金谷 拓実(かなや・たくみ)1998年5月23日、広島・呉市生まれ。20歳。5歳でゴルフを始め、広島国際学院高2年の日本アマチュア選手権で17歳51日で大会史上最年少V。同年の日本オープン11位で大会史上最年少でローアマを獲得。昨年の日本オープンも2位でローアマを獲得。今年9月の世界アマ2位。172センチ、73キロ。家族は両親と兄。

 ◆マスターズの出場権を得るには 〈1〉歴代優勝者〈2〉前年大会から大会前週までの米ツアー優勝者〈3〉年末の世界ランク50位以内〈4〉大会前週の世界ランク50位以内〈5〉アジアアマ優勝者など19カテゴリーのほか、マスターズ委員会からの特別推薦がある。松山は昨季のプレーオフシリーズ最終戦に進出した資格で、昨年4月のRBCヘリテージで優勝した小平智も出場権を獲得している。日本人アマの出場は11、12年大会の松山のみ。

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