勝みなみプロ初V 衝撃15歳Vから4年半「黄金世代」筆頭がついに 


18番でウィニングパットを沈め笑顔を見せる勝みなみ(カメラ・豊田 秀一)

18番でウィニングパットを沈め笑顔を見せる勝みなみ(カメラ・豊田 秀一)

 ◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス最終日(18日、愛媛・エリエールGC松山)

 首位から出た勝みなみ(20)=明治安田生命=が7バーディー、ボギーなしの65で回り、通算20アンダーでアマ時代のKKT杯バンテリンレディス(14年4月)以来の通算2勝目&プロ初優勝を飾った。15歳でプロツアーを制してから4年半。1998年度生まれの「黄金世代」の筆頭格が存在感を見せつけた。27位だった韓国のアン・ソンジュ(31)=モスバーガー=が4年ぶり4度目の賞金女王。

 ついに勝が勝った。

 平均年齢19・33歳。3人1組としてはツアー史上最年少となった最終日最終組の戦いで一気に抜け出した。1、2番で連続バーディー。イーグルを奪った第3日の18番から合わせて3ホールで4つもスコアを伸ばし、驚異的な爆発力を見せた。

 勢いに加え、安定感あるプレーは最後まで続いた。最終18番で70センチのウィニングパットを沈めると勝は満面の笑みを見せた。

 「楽しくプレーできた。自分のゴルフができた。ボギーなしで回れた。『うれしい』がいっぱい。泣きたかったけど、泣かなかった」

 2位の松田に4打差の圧勝を涙なしに振り返った。新垣ら「黄金世代」の仲間たちもグリーンサイドで喜びを分かち合った。同組で戦った松田とは抱き合って互いの健闘をたたえた。

 いつものように全18ホール、約7~8キロを歩いて見守った母・久美さん(51)は「12番くらいから涙がこみ上げてきた」と感極まった。母の感激ぶりを娘は「ウケる~」と笑った。母娘の悲願が成就した瞬間だった。

 14年4月、ツアー史上最年少の15歳で優勝し「天才少女」と呼ばれた勝は昨季、プロテストに一発合格。今季、満を持して初めてツアーにフル参戦した。6月には2戦連続で2位となったが、プロ初優勝は近そうで遠かった。夏以降、疲労などによって急激に調子を落とし、8月下旬から9戦で予選落ち7回、棄権1回と苦しんだ。「試合に行きたくなかった」と勝は落ち込み、久美さんも「どうなってしまうのか」と悩んだ。

 復調のきっかけは面識があった芹澤信雄プロのワンポイントレッスンだった。10月中旬、レギュラー5勝、シニア1勝を誇るトッププロに「スイングが小さくなっている。肩を回すように」と助言を受けた。10月下旬の樋口久子・三菱電機レディスでは10試合ぶりのトップ10入り。「うれしくて回っている途中で泣きそうだった。芹澤さんに感謝しています」と振り返る。

 不調の間も1メートル、ストレートラインのパット練習を愚直に繰り返した。「プロは気持ちが楽です。たとえ2位でも賞金がもらえますから」とプロらしい割り切りも強みになった。かつての天才少女は4年半の時を経て、名実ともにトッププロとなった。(竹内 達朗)

 ◆勝 みなみ(かつ・みなみ)1998年7月1日、鹿児島市生まれ。20歳。8歳からゴルフを始める。鹿児島高に入学直後の2014年4月、KKT杯バンテリンレディスで日本女子ツアー史上最年少の15歳293日で優勝。73年の清元登子、03年の宮里藍に続く快挙を成し遂げた。17年3月に高校を卒業し、同年7月のプロテストに一発合格。プロ野球・阪神の大ファン。今季賞金ランクは11位。157センチ、56キロ。

最新のカテゴリー記事