◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー今季最終戦 日本シリーズJTカップ第2日(30日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)
7位から出た石川遼(27)=カシオ=が6バーディー、4ボギーの68で回り、通算4アンダーで首位と4打差の2位に浮上。1992年日本プロ選手権の倉本昌弘以来2人目となる「選手会長就任初年度メジャー制覇」を視界に入れた。ギリギリ30番手で出場権を得た「持ってる男」が、業務の多忙さから苦戦する“負の歴史”に終止符を打ち、3年ぶりの大会制覇へ突き進む。
石川がV戦線に生き残った。16番の第2打。ピンまで92ヤードの右セミラフからサンドウェッジを振り抜き、木を越えてピン奥に着弾させた。ボールはスピンで10ヤード戻って50センチに。キャディーとハイタッチし、6個目のバーディーで沸かせた。「思った通りに打てるのが最近少ないので良かった」。連日の68で4打差2位と今季初優勝を射程に捉えた。
6季ぶりに日本ツアーに復帰すると、1月に26歳で最年少選手会長に就任した。試合中は自ら発案したピンフラッグに1日200~300枚ものサインを書いた。打ち合わせにも奔走し、事務局スタッフは「休まる日がないのでは」と心配するほど。6月には東北3県を1泊2日で訪れ、被災地に車両を寄贈した。その際もスーツを2着用意した。
練習量は制限されるが、国内開幕前には「24時間ずっと選手会の仕事をするわけではない。質を上げれば問題ない」と話していた。だが、5月のツアーのプロアマ戦で招待客に不適切な対応をした片山晋呉(45)が処分を受けた問題では6月27日の謝罪会見に同席し、選手会長として頭を下げた。9月には胃腸炎で一時離脱も経験した。
歴代選手会長のメジャー優勝は3人いるが、就任初年度では倉本だけ。近年務めた池田(13年は1勝で賞金ランク9位)、宮里(16年は0勝で同20位)も1年目は苦戦した。「2人とも1年目は大変だったと言っていた。皆さん苦労しているので、そういうのを払拭したい。選手会が良い団体になることを願いつつ、自分(の仕事)を全うしたい」
前週、わずか64万円差で今大会のラスト1枠に滑り込んだ。1日の第3ラウンドは、賞金王をほぼ手中にする今平らと最終組で回る。「1位の人は何アンダー、ギリギリの人は何オーバー(からのスタート)というわけじゃないので、すごいことではない。プレーに入ったら(会長ではなく)一選手としてしのぎを削るだけ」。プライドをのぞかせた15年大会覇者の逆襲に期待が高まる。
◆石川が優勝すれば達成する記録
▽選手会長の優勝(1984年~) 杉原輝雄(4勝)、倉本昌弘(5勝)、片山晋呉(3勝)、宮本勝昌(1勝)、池田勇太(3勝)、宮里優作(4勝)に次ぐ7人目。
▽27歳76日での最年少15勝 中嶋常幸の記録(28歳333日、83年全日空オープン)を更新。