女子ゴルフ来季2試合減 日テレ放送権交渉決裂で主催3試合消滅「遺憾」


女子ゴルフツアーの日程を発表したLPGAの小林会長

女子ゴルフツアーの日程を発表したLPGAの小林会長

 日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の小林浩美会長(55)は18日、都内で会見し、放映権の帰属を巡る問題について初めて口を開いた。1967年の協会創立以来、ツアーにおける放映権の所在が不明確だったとし、昨年8月から「財政基盤の立て直し」を理由に「放映権の一括管理」を各大会主催者に通達していた。2020年までは放映権料は徴収しないという条件で合意に至った来季36試合を発表した一方で、日本テレビ系列が主催する歴史と伝統を誇る3試合が消滅した。

 小林会長の放映権問題に関する説明は謝罪で始まり、謝罪で終わった。冒頭で「会員やファンの皆さま、多くの方々にご心配、ご迷惑をおかけしたことを心よりおわび申し上げます」と深々と頭を下げた。報道陣からの質疑応答を含め約50分、騒動の経緯と今後の方針について初めて言及。沈黙を貫いてきた理由を「守秘性が高いため」と説明した。

 LPGAは昨年8月から放映権の帰属を一貫して主張してきた。2019年のツアー日程を巡っては、今年9月末から交渉期限を3度延期。わずか1年余りの交渉期間と早期決着にこだわり、テレビ局側と対立してきたが、今月13日に36試合の主催者と合意。「50~80代のファンが多くて根強いので」(小林会長)と地上波、BS、CSは従来通り放送される。

 さらに、資金力のあるネット配信業者と契約を目指し、来季開幕からインターネット中継を開始する考えだ。「地上波の録画放送が魅力的でないという声もある」とし、「国内外への生放送で10~40代のファンを拡大させたい」と意気込んだ。財政基盤を確立した先には「会員、選手に還元したい」とフィットネスカー導入や託児所設置、選手年金の確立などを目指す。

 一方、日テレ系の主催試合の交渉は合意に至らなかった。宮里藍さん(33)が03年にアマで初優勝したミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(宮城)や、勝みなみ(20)が14年に15歳293日で最年少優勝したKKT杯バンテリンレディス(熊本)など、3試合が消滅した。大地震の被災地での試合がなくなり、小林会長は「非常に残念。やっていただきたかった」と無念さをにじませた。メジャー初戦の5月、ワールドレディスサロンパスカップは「LPGA選手権」の仮称で発表。「(会場未定で特別協賛の)久光製薬さんと交渉中」と話すにとどめた。

 ◆放映権問題の主な経緯

 ▽17年8月24日 トーナメント主催者会議で、LPGAが同協会に放映権を帰属させる考えを発表。

 ▽18年1、3、5月 主催者説明会を実施。LPGAの方針を一方的に説明し、質疑応答は行われず。

 ▽7月3日 LPGAはツアー開催規定の変更を通達。放映権の帰属をはじめ、大会ロゴや入場券販売などの主催者権利をLPGAの承認事項とするなど。

 ▽8月20日 19年のトーナメント開催協約書提出期限に、25大会以上がLPGAの説明不十分として「(協議継続等の)条件付申込」。個別交渉の期限を9月25日に延期する。

 ▽9月25日 条件付きで開催申込した主催者に対し「覚書」締結が提案される。LPGAへの放映権帰属が前提とされ、ネット配信のLPGA独占など多くの主催者は協議継続を回答。

 ▽11月28日 ツアー開催の規定変更、放映権帰属は合意に至らず。その後、LPGAから条件付き開催申込主催者へ文書が送付された。12月13日17時までに協約書および覚書を再提出すること。できない場合は開催意思がないものとし、19年の日程には組み込まないと通告。

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