女子ゴルフのアジア太平洋女子アマ選手権が4月25~28日、茨城・ザ・ロイヤルGC(6431ヤード、パー72)で日本初開催され、安田祐香(18)が11アンダーで初優勝を飾ったが、練習日を含めて5日間、取材した中で、印象に残ったのは小倉彩愛(さえ・18)=岡山繰山高卒=。悪天候の第2ラウンド、1番パー4の第1打から第2打の地点まで「寒かったので」と、軽快に走り抜けた。まるで陸上選手のように美しいフォームだった。
「走るフォームきれいですね」。仕事前に朝ランするほど走るのが好きな記者は、小倉にそう伝えた。すると、小倉は「走るのが得意」と明かした。中学時代、短距離は50メートルを7秒台(中学女子平均タイムは8秒6)で走り、リレー選手に選ばれたという。ゴルフが忙しく本番は辞退したそうだが…。吉田優利(19)、後藤未有(18)らと参加した合宿では15分間走を行い、ぶっちぎりの1位。どうしてそんなに足が速いのか。「毎日走っています。体力の維持、向上のためです」と返ってきた。
日本勢は出場8人中、小倉を含む7人が「ミレニアム世代」と呼ばれる2000年生まれ。勝みなみ、新垣比菜ら1998年生まれの「黄金世代」の2学年下で、大会を制した安田や、18年日本女子アマ優勝の吉田ら、確かな実力に注目が集まる。
小倉の母は言う。「性格はすっごく真面目。真面目すぎて、何事もサボれないし、ふざけ方も知らないと思います。小学生の時から、課題も全部しっかりやっていましたね」。日本ゴルフ協会ナショナルチーム(NT)の活動で切磋琢磨(せっさたくま)する、梶谷翼(15)=兵庫・滝川第二高1年=は今大会ホテルで同部屋だった。「彩愛ちゃんが部屋で酸素水を飲んでいたんです。なぜか聞くと、『疲労回復のためだよ』と。すごいと思いました」。NTのジョーンズヘッドコーチも、「彩愛は真面目で、非常にクレバー(賢い)」と評した。
初出場の小倉は「ショートパットなら外さない自信がある」という得意のパターを生かし、第4ラウンドは4日間大会の自身最小スコア70をマーク。通算8オーバー17位で終えた。令和元年は11月のプロテスト一発合格が最大の目標だ。
人気グループGENERATIONSの片寄涼太(24)の大ファン。端正な顔立ちの18歳は、しっかりと足元を見据える。「身近な同世代にも安田祐香選手とか、うまい人はたくさんいる。(今大会を通して)私には飛距離が足りないと実感した。プロテストに合格して、まず1年、(国内)ツアーでしっかりやりたい。(海外ツアーは)いつかは出たい」。どこまでも真面目にゴルフと向き合う。(宮下 京香)