大槻智春、亡き兄に吉報「しっかり頑張らないと」


初優勝し堀川未来夢(左)から水をかけられ祝福される大槻智春(カメラ・馬場 秀則)

初優勝し堀川未来夢(左)から水をかけられ祝福される大槻智春(カメラ・馬場 秀則)

 ◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアー 関西オープン最終日(26日、奈良・KOMACC)

 4位で出た大槻智春(29)=真清創設=が7バーディー、ボギーなしの65で回り、3打差逆転で初優勝を飾った。同組の星野陸也(23)=フリー=と通算19アンダーで突入したプレーオフ(PO)4ホール目でバーディーを奪い決着。プロ9年目での初Vに、茨城から急きょ駆けつけた両親も喜びの表情を見せた。

 初優勝の瞬間、大槻は飛び切りの笑顔を浮かべた。18番パー4で繰り返し行われたPOで集中力を切らさず、4ホール目で3メートルのバーディーパットを決めた。星野との約6時間に及ぶ激闘に決着をつけ「勝てたなというのが一番に来た。すごくうれしい」。1打ビハインドだった正規の18番でも2・5メートルのバーディーパットを沈め追い付いた。

 遅咲きの29歳が、亡き兄に吉報を届けた。自身が生まれる約1年前、兄・智之さんが脳腫瘍のため11歳の若さでこの世を去った。ゴルフが上手だった兄と同じ7歳から競技を始め、父・隆さん(70)と二人三脚で練習に打ち込んできた。どうしても息子にゴルフをやらせたかった父は、前日の夜中から7時間も車を走らせて応援に訪れ「長男が亡くなって智春が生まれてきてくれたことが、生涯で一番うれしかった。でも今日の優勝も最高にうれしい」と喜んだ。大槻も「(兄と)会ったことはないけど、しっかり頑張らないととは思う」と思いを背負って戦った。

 2010年秋のプロ転向以降は、予選会で結果を残せずツアーに参戦できない毎日だった。日大で同期の小平智が勝利を重ねる姿を見て「『おめでとう』ってLINEを送るけど、自分の中で何やっているんだろう? というのはあった。ずっと悔しい思いをしてきた」と振り返った。今年の目標は「(毎試合)30位以内に入り続けること。早く2勝目とは思いますけど、そこはブレずにいこうかな」。小平に負けじと、足元を見て謙虚に挑み続ける。(筒井 琴美)

 ◆大槻 智春(おおつき・ともはる)1990年1月26日、茨城・神栖市生まれ。29歳。父の影響で7歳からゴルフを始め、鹿島学園高時代の2007年に関東ジュニアで優勝。日大に進学もプロ転向するため10年11月に中退し、11年からツアーに参戦。昨季賞金ランク40位で初シードを獲得した。得意クラブはサンドウェッジ。家族は両親と姉。172センチ、94キロ。

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