逆転の成田美寿々、通算13勝のうち9勝が逆転劇「追いかける方が楽」


逆転で今季2勝目を挙げた成田美寿々は、夏の富士山をバックに優勝トロフィーを突き上げた(カメラ・今西 淳)

逆転で今季2勝目を挙げた成田美寿々は、夏の富士山をバックに優勝トロフィーを突き上げた(カメラ・今西 淳)

 ◆女子プロゴルフツアー 大東建託・いい部屋ネットレディス 最終日(4日、山梨・鳴沢GC=6605ヤード、パー72)

 2打差の3位から出た成田美寿々(26)=オンワードホールディングス=が5バーディー、3ボギーの70で回り、通算11アンダーで逆転優勝。今季2勝目、通算13勝目を挙げた。逆転勝ちを得意とする成田は来年の東京五輪でも逆転で日本代表入りに意欲を示した。首位から出た有村智恵(31)=日本HP=は73とスコアを落とし、韓国のペ・ソンウ(25)=Samchully=とともに1打差2位に終わった。

 入れれば優勝、外せば3人のプレーオフ。最終18番、1メートルのパーパットはカップの縁を半周回って、カコンと落ちた。「やっちまった!と思いましたけど」。成田は苦笑いしながらウィニングパットを振り返った。

 首位の有村と2打差の3位からスタート。ツアーで唯一となるパー3の1番から攻めた。9アイアンで1・5メートルにピタリとつけてバーディー発進。「練習場で最後の一発は9アイアンでティーアップしてビシッといい球を打った。いいイメージを出せたのだろう」。コーチで父の俊弘さんは会心ショットの理由を明かした。

 16番で5メートルのバーディーパットを沈めて首位浮上。最後の18番は「ヒヤリとした」が、見事な逆転V。4月のヤマハレディース葛城を含めて通算13勝のうち9勝が逆転劇。得意の勝ちパターンを「追いかける方が楽。スコアを伸ばせばいいでしょ、みたいな感じで」と豪快に笑った。

 成田の活力源は五輪への熱い思いと熱い鍋料理だ。「スポーツの頂点は五輪。水泳の北島康介さんとソフトボールの上野由岐子さんが印象に残っている。負け惜しみではなくてメジャーより五輪です」。全英女子オープンで大活躍中の渋野日向子を意識しながら笑顔で話した。来年の東京五輪の日本代表は世界ランクで決まる。現在、日本勢で9番手。「五輪まで、あと6~8勝しなければならない」と意気込む。

 鳥鍋大好き 体力勝負となる夏、鍋料理が成田を支えている。ツアーに帯同する俊弘さんが鍋とIH調理器を持ち運び、夕食はホテルの部屋で鍋を囲む。「昨晩は塩味の鳥鍋でした。外食するより栄養があるし、すぐ寝られるし。寝る子は育つ、です」と俊弘さんは笑った。

 趣味は宝塚歌劇団の鑑賞。男役のような雰囲気を持つ26歳はスター性抜群。「逆転の成田」は東京五輪のヒロインになれる可能性を秘めている。(竹内 達朗)

 ◆成田 美寿々(なりた・みすず)1992年10月8日、千葉・市原市生まれ。26歳。12歳からゴルフを始める。スポーツ万能で水泳、ソフトボール、陸上、バスケットボールも経験。2011年に拓大紅陵高を卒業。12年からツアーに参戦すると、同年の富士通レディースで初優勝するなど頭角を現し、賞金ランク27位で初シードを獲得。賞金ランクの最高は5位(14、18年)。ツアー通算13勝、そのうちメジャー1勝(14年ワールドレディスサロンパスカップ)。167センチ、60キロ。

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