渋野日向子、1打届かず涙の3位 Vパット外し「今回が一番、悔しい」


18番で決めれば優勝のバーディーパットを外した渋野日向子(カメラ・頓所 美代子)

18番で決めれば優勝のバーディーパットを外した渋野日向子(カメラ・頓所 美代子)

 ◆女子プロゴルフツアー NEC軽井沢72最終日(18日、長野・軽井沢72G北C)

 2週前の海外メジャー・AIG全英女子オープンを制した渋野日向子(20)=RSK山陽放送=は2位から出て5バーディー、1ボギーの68で通算13アンダー。最終18番のボギーが響き、プレーオフ(PO)まで1打及ばず3位に終わった。凱旋2戦目での国内3勝目を逃し、試合後はクラブハウス内で涙。14アンダーの穴井詩(31)=ゴルフ5=がイ・ミニョン(韓国)とのPOを制した。

 劇的優勝を決めた全英の最終日と同じような場面だった。首位に並んで18番を迎えた渋野は、バーディーなら優勝だった。5メートルのバーディーパットは「打った瞬間から入らないと思った」と2メートルオーバー。返しのパーパットも外れ、北C開催となった1998年以降の最終日では3番目に多い6786人の観客からため息が漏れた。

 「何回か優勝争いをしてきたけど、今回が一番、悔しい。(最初のパットだけ)全然手が動かなかった。理由は分からないけど、今までの優勝パットより緊張した。手が震えていた」。ファーストパット後は、今季約半数の試合でコンビを組む定由早織キャディー(27)に「何であんなに(オーバーして)打ったんだろう。笑えない」と笑いながら話した。凱旋Vが一転、1打差3位の幕切れに、パターで両足をたたいて悔しがった。

 涙をこらえてクラブハウスに戻ったが、1人になったロッカールームで泣いた。「(涙は)悔しくて出たけど、人前で見せるものではない」。応援に来た母・伸子さん(51)は「子供の頃(に見せた表情)と同じ。また強くなってほしい」と思いやった。

 前夜(17日)には青木翔コーチ(36)から「明日もちゃんとやって来いよ」とだけLINEが届いた。短い言葉の裏には「優勝争いになれば、自分でアクセルを踏んでくれる」(同コーチ)という信頼が込められていた。9番で首位に並ぶと14番で1メートル半、15番で6メートルを沈める連続バーディー。勝負どころで必死に食らいついた。

 前週の発熱の影響でせきが出るなど体調は万全ではなかった。それでも連続イーブンパー以上のラウンド(R)を日本人トップタイの24Rに伸ばし、今季国内獲得賞金は約8479万円で2位をキープ。2週後のニトリレディスでは、04年宮里藍の19歳141日に次ぐ年少2位の1億円到達も見えた。今週のCATレディースは欠場して1週間の完全休養に入る。全英Vから日本中の注目を浴びた怒とうの2週間を終え「今日もいいプレーがたくさんあった。早く1億円を突破したい」と前を向いた。(岩原 正幸)

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