◆報知新聞社後援 女子プロゴルフツアー 今季メジャー最終戦 LPGAツアー選手権リコー杯最終日(1日、宮崎CC)
首位と2打差3位から出た、賞金ランク3位の渋野日向子(21)=RSK山陽放送=は3バーディー、1ボギーの70で回り、通算7アンダー2位タイと奮闘も約757万円及ばず、ツアー史上最年少21歳16日での逆転賞金女王に届かずにランク2位に終わった。18番では、AIG全英女子オープンを含め日米5勝とシンデレラストーリーを駆け上がった1年を象徴するように“しぶこスマイル”のバーディーで締めた。5位の鈴木愛(25)=セールスフォース=が2年ぶり2度目の賞金女王に輝いた。
激動の1年の締めは、やっぱり笑顔だった。渋野は最終18番で、父・悟さん(52)、母・伸子さん(51)ら家族を含め500人以上が見守る中、2メートル半のバーディーパットを沈め、顔をくしゃとさせ笑った。「どのパットよりも気持ちが入った。最後のバーディーで悔いはない。入った瞬間は笑いしか出なかった。スッキリしている」。宮崎CC開催の03年以降の最終ラウンドでは最多8580人のファンを最後まで沸かせ、晴れやかな表情を浮かべた。
青木翔コーチ(36)やマネジャーら“チームしぶこ”で円陣を組み、1番ティーに向かった。12番で30センチに寄せて初バーディーを奪うと、13番は3メートルを沈めて伸ばした。だが、15番で3打目のアプローチを寄せきれずにボギーとし終戦。首位と4打差の2位タイで終えた。昨季は賞金ゼロで、実質プロ1年目の今季は、賞金女王に返り咲いた鈴木愛に約757万円差のランク2位と大健闘。9月に掲げた初の女王には一歩届かなかったが「(悔いは)全くない。神様からの1位になるには早いよという試練だと思う。頑張っていかないと」と充実感を漂わせた。
国内では5月のワールドレディスサロンパスカップでツアー初優勝し、4勝を挙げた。全てが変わったのは8月。AIG全英女子オープンで日本人42年ぶりのメジャー制覇で一気にブレイクした。勢いは止まらず、国内最終戦まで優勝争いを演じた。「本当にこの1年は財産。結果としては100点は超えているけど…98点。2点は(V逸したNEC)軽井沢の(最終18番の)3パット」。シンデレラストーリーを歩んだ2019年をしみじみ振り返った。
重圧も乗り越え 人気者ゆえの苦悩もあった。“しぶこフィーバー”が起こり「普通の生活ができなくなった」。重圧でパットの際に手が震えることもあった。それでも「8月からすごく長く感じた。でもこれまでしたことのない経験をして、これからのゴルフ人生に生かしたい」と全てを前向きに捉えた。
来季については「開幕は海外の試合に出たいと思っている」と2月の米ツアーで始動する予定だ。来夏は東京五輪が開催される。現在世界ランク日本勢2番手の12位で出場圏内。「今は五輪しか考えていない。やっぱり自国開催なので金メダルを取りたい」。多くの人に愛される“しぶこスマイル”は来年もきっとまぶしい。(宮下 京香)
〇…渋野が今季の各大会の順位、ラウンド数などをポイント換算し、総合的な活躍度を評価した「メルセデス・ランキング」で1位に輝いた。副賞のメルセデス・ベンツも贈られた。ランク1位に立っていた、11月の大王製紙エリエールレディスの週に獲得を宣言しており「車をゲット。有言実行できてよかったなと思います」と笑顔で喜んだ。