◆女子プロゴルフツアー メジャー最終戦・LPGAツアー選手権リコー杯最終日(1日、宮崎CC=6535ヤード、パー72)
今季7勝の鈴木愛(25)=セールスフォース=が2年ぶりの賞金女王に輝き、2022年までの3年シードを獲得した。小学5年から15年までの11年間、鈴木を育てた南秀樹コーチ(45)がまな弟子を祝福した
2回も賞金女王になるなんて大したもの。今でも電話やLINEで連絡を取っています。8月にしぶこが全英で勝ち、世界ランクでポンと抜かれた愛は落ち込んでいた。おそらく「五輪を目指すのもやめたほうがいいのか」と“燃え尽き症候群”のような状態だったと思う。「9月に一度帰りたい」となり、1週間、香川に来たんです。
彼女は10ヤードのチップを打たせれば調子が分かる。上からクラブをカツンと入れるのに、下からすくい上げる悪い状態だった。鏡の前でスイングを修正し、パターは両脇に棒を1本挟んで打ったり、球を押す基礎をやった。練習は昼から夜9時半まで、レッスン代を頂いた上でやりました。
11月に3連勝。「帰ってきてからの精神状態は全然違う」とキャディーさんは言います。精神面のコントロールが上手になった。1打負けたけど、エリエールレディスも優勝スコアを19アンダーに設定していたから「渋野さんが良かった」と素直に言える。今まで敵ばかり見ていたのが、自分を見てゴルフができるようになった。
2年前より全てのレベルが上がっているが、一番上手になったのはマネジメント。海外メジャーや、過酷な状況で戦った経験が大きい。夏には東京五輪がある。14年のオフに初めて五輪強化指定選手に選ばれた時に「先生、ならなきゃいけないの?」と聞かれて驚いた。そんな愛が今、本気で代表を狙える位置にいる。これが最後。5年後はない。一つの集大成だと思って頑張ってほしい。(ツアープロコーチ、構成・岩原正幸)
◆南 秀樹(みなみ・ひでき)1974年2月21日、香川・高松市生まれ。45歳。14歳からゴルフを始め、香川西高を経て2004年にプロ入会。丸亀市などを拠点に「ミナミゴルフアカデミー」を主宰する。