石川遼、針金パターで2差5位 逆転Vで最年少10億円到達だ


3番、ティーショットを放つ石川。首位と2打差の4アンダー5位から逆転Vを狙う(カメラ・相川 和寛)

3番、ティーショットを放つ石川。首位と2打差の4アンダー5位から逆転Vを狙う(カメラ・相川 和寛)

 首位と4打差8位から出た石川遼(28)=カシオ=が4バーディー、2ボギーの68をマークし、通算4アンダーで首位と2打差5位に浮上した。針金で作ったパターで練習を積み、高速グリーンを攻略。逆転Vを射程内に捉え、山あり谷ありの令和元年を笑って締める。時松隆光(26)=筑紫ケ丘GC=と黄重坤(27)=韓国=が6アンダーで首位。

 気温5・6度。例年にない寒さの東京よみうりを石川が熱気に包んだ。1番で7メートルのバーディーパットを沈めると、数々のドラマを生んだ最終18番でも“魅せ”た。奥から急傾斜の高速グリーン。下からの2メートルのパーパットを迷いなく決め、大歓声を浴びた。15年大会以来、4年ぶりの大会制覇へ、「あしたいい波に乗れれば、チャンスはある位置で終えられた」と、逆転V圏内に食らいついた。

 2日連続でニット帽をかぶり、この日はカイロを1枚背中に貼った。15番は6アイアンでの第1打を1メートル半に寄せるスーパーショットでバーディー。フェアウェーキープ率も71・43%で全体2位とショットは好調を維持し、「ドライバー(ショット)がフェアウェーに行って、アイアンもチャンスにつけられた」とうなずいた。

 ユニークな“針金”パット練習が超高速グリーンで生きた。パターのフェースの芯の部分の両端に、針金を巻いた。針金はホームセンターで購入し、前週のカシオワールドオープン(10位)から取り入れた。ボールが芯に当たらないと、針金に当たって真っすぐ転がらない。「しっかり当たっているかチェックしている」と、狙いを明かした。

 令和元年は波乱万丈だった。5月のプロ初棄権から始まり、7月に3年ぶりの復活V、8月にも1勝。秋にはショットが不調に陥り、11月に2週連続予選落ち。「いい時もあったけど、優勝争いをしてから悪くなったので。悪い時の調子の戻し方が分かっていなかったのが甘かった」と、山あり谷ありの1年を振り返った。

 今季シーズン最多3勝目となれば、17年の宮里優作以来、大会史上2人目の選手会長優勝。史上最年少28歳82日で生涯獲得賞金10億円を突破する。昨年は小平、黄と3人のプレーオフに敗れて2位。今季最後の18ホールへ、「去年のリベンジです。楽しくプレーすることは大事。いつも通りやれれば」。選手会長と優勝のスピーチを兼ねて行えるのは石川だけ。ドラマチックな1年を主役で締めくくる。(宮下 京香)

 ◆石川の最終日逆転優勝 日本ツアー通算16勝のうち5勝。アマチュアだった07年マンシングウェアKSBカップは4差9位、08年マイナビABC選手権は3差3位、14年長嶋茂雄招待セガサミーカップは2差3位から。今年7月の日本プロ選手権で4打差6位から逆転V。10年中日クラウンズでは6打差18位から12バーディー、ボギーなしで世界最少スコア(当時)の58をたたき出し逆転した。

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