女子プロゴルフの世界ランク12位で東京五輪出場圏内につけながら、今季出場予定試合が初戦から4試合中止になっている渋野日向子(21)=サントリー=の金メダル獲得プランが5日、分かった。青木翔コーチ(36)がこの日までにスポーツ報知の単独取材に応じ、渋野の現状と、今季海外メジャー初戦のANAインスピレーション(4月2日開幕・米カリフォルニア州ミッションヒルズCC)へピークを持っていく方針を明かした。金メダルを目指す五輪出場権を6月末に獲得を実現するため、二人三脚で調整を続けていく。
2月20日にタイで五輪イヤー初戦を迎えているはずだった渋野は現在、国内で連日のように青木コーチの指導の下、ショット、アプローチなどの練習に励んでいる。新型コロナウイルスの影響で今季出場予定だった日米ツアーが4試合連続で中止となる状況に、青木コーチは「中止は仕方ない。あまり気にせずやるしかない。練習する時間が増えたと思って取り組んでいます」と、教え子を気遣った。
渋野は1月下旬から行った10日間のタイ合宿で、体力づくりと並行し課題のアプローチを中心に強化した。コーチは「タイ、シンガポールの(米ツアー)2戦にピークが来るように考えていた」と明かしたが、2月10日に2戦とも中止が決定。国内ツアーの開幕戦、第2戦も相次いで中止となり、3度にわたり自身の「今季初戦」がキャンセルになった。気持ちの面に加え、試合勘の不安も拭えないが、「(一度上げた調子を)維持するのは難しい。悪くなったら、悪いなりにやればいい」とした上で、「チームとして心の準備のサポートをしたい」と、精神面のバックアップを重要視した。
さらに、コーチは「最初のメジャーであるANA(インスピレーション)に向けて準備をしている」と力を込めた。ホステスプロとなる国内第3戦のTポイント×ENEOS(20~22日)、続くアクサレディス(27~29日)に関しても開催は不透明な状況が続く。海外メジャーが今季初戦になる可能性もあるが、2017年秋から師事し、渋野が最も信頼を寄せる恩師は、「いろいろなケースを想定しながら。(状況を)本人にも伝えている。ぶっつけ(本番)になったら、そこは調整しながらやるだけ」と、冷静に語った。
6月29日に決まる五輪代表争いで自力出場の世界ランク15位以内の死守を目指す中、獲得ポイントが高いメジャーで好成績を残し、スタートダッシュを図る狙いがある。「(試合再開の状況が)どうなってもいいように、いつでも試合ができる準備をしている」と青木コーチ。渋野は2月29日、インスタグラムに岡山の実家から登場し、「もっとレベルアップできると(開幕延期を)前向きに捉えています。ずっとコーチのところに行って練習しています」などと報告している。
現状では米政府による入国制限など、気がかりな情報もある。師弟コンビは直近のメジャー(AIG全英女子オープン)覇者として臨む4月の一戦へ照準を合わせ、そこから悲願の金メダルへ突き進む。(岩原 正幸)
◆東京五輪への道 女子は6月29日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ランク上位60人が出場権獲得。〈1〉15位以内は各国で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含み最大2人が出られる。2日時点のランクでは畑岡、渋野、鈴木の3人が圏内。本大会は8月5日から4日間、埼玉・霞ケ関CC東Cで72ホールのストロークプレー、個人戦。
◆世界ランク 過去2年間に獲得したポイント(減算あり)を出場試合数で割った平均値で算出。出場選手の世界ランクが高いほど試合のポイントも高い。通常の米ツアーで日本ツアーの約2~3倍、海外メジャーは約5倍とされる。