異色のルーキー関藤直熙、日本&アジア“二刀流”で「優勝とシード」狙う


今季からツアーに本格参戦する関藤

今季からツアーに本格参戦する関藤

 日本男子プロゴルフツアーに今季から本格参戦する異色のルーキー・関藤直熙(22)=エブリイ=が、スポーツ報知のインタビューに応じた。挫折をバネに昨年、日本人初のアジアン下部(ADT)ツアーの賞金王となった国際派。今季は日本とアジアンツアー30試合以上の掛け持ちを予定も、新型コロナウイルス感染拡大の影響で“休業中”。国内シーズン開幕を待つ、信念もドライバーショットも曲がらない、タフなイケメン広島男児に迫った。(取材、構成・榎本 友一、岩原 正幸)

 関藤は昨年12月の日本ツアー最終予選会を11位で通過。今季は日本ツアーとアジアンツアーの“二刀流”で挑む。1月の香港オープン、3月のマレーシアオープンで7位と好スタートを切ったが、新型コロナの影響でなくなった試合も多い。

 「日本ツアーの5試合にタイ、インド、バングラデシュ、マレーシアとアジアンツアーも4試合が延期か中止ですね。仕方ないですが、こうなるとは思っていなかった。アジアンは延期で20年のうちには開始される。またそこで出られたら」

 拠点は地元・広島。プロゴルファーの弟・侑嗣(20)とともに練習に励んでいる。

 「小さい頃から通う家の近くの練習場と、いろんなゴルフコースへ行きながら週に4、5回はラウンド。トレーニングは家でダンベルを使ってしています。年間30試合に出る予定だったので、シーズンを戦う上での体力をつけようと。弟とはいつかはツアーで兄弟で優勝争いをしてみたいね、と話しています」

 一昨年にプロになるも日本ツアー予選会で敗退。アジアに職場を求め、昨年は参戦2年目のADTツアー12戦で2勝&2位が4度の大活躍。賞金約5万ドル(約550万円)で日本人初の賞金王となった。

 「2年間、ADTでいろんなコースを回って対応力がつきました。苦手コースがあまりない。年間で好不調の波やオーバーパーも少ない。それが武器ですかね」

 高校卒業後日本ツアーの予選会で敗退し約2年、豪州へゴルフ留学。15年全米プロ王者のジェーソン・デーらを輩出した、ブリスベンのゴルフアカデミーの門をたたいた。

 「平日は週5日、英語で授業を受けて昼過ぎからラウンド練習。おかげでADTツアーで優勝後は英語でスピーチできました。海外を転戦するには困らない」

 得意のドライバー同様、厳しい状況下でも今季目標もブレない。過酷な環境のアジアン下部ツアーで2年間磨いたタフさが武器だ。

 「アジアンと日本ツアー、両方での初優勝と賞金シード獲得。そこは(試合が減っても)変わらない。ADTはコースまでの道のりは半端じゃない。道なき道。地元民でないと対向車ともすれ違えない距離で。いろんな意味でタフになれました(笑い)。ただ、僕はそういうのがストレスにならない。行くと楽しい。練習ラウンドもいろんな国の選手としてきました」

 昨年の三井住友VISA太平洋マスターズで、アマチュア優勝を果たした金谷拓実(21)は高校の1学年後輩。岡山出身の女子プロ・渋野日向子(21)とも高校時代から親交がある。

 「金谷は、高校時代はほぼ一緒に練習していましたし、同じ舞台で戦うのが楽しみ。渋野は去年、僕がADTで初優勝した時に『おめでとうございます』とLINEをくれました。AIG全英女子オープンで勝った時には、僕から祝福の言葉を送りました。中国地方の強化合宿で高校時代から一緒でした。体が大きくてうまかった。でも、昨季の活躍はびっくりですよね」

 EXILE系のイケメンは、日本ツアー本格参戦1年目の楽しみも抱く。将来的にはグローバルに活躍するプロゴルファーを目指す。

 「特に、著名人の誰に似ているとも言われませんよ(笑い)。今年は活躍をテレビで見てもらえたら。ADTは成績だけでプレーは見ていただけなかったので。夢はマスターズに出ること。将来的には欧州ツアーでやってみたいですね」

 ◆関藤 直熙(せきとう・なおき)1997年10月3日、広島・福山市生まれ。22歳。6歳からゴルフを始め、広島国際学院高3年で全国高校選手権団体戦で優勝。卒業後、日本の予選会を2次で敗退して豪州・ブリスベンに約2年間のゴルフ留学。2018年の日本ツアープロテストで合格も予選会は2次で敗退。日本ツアー通算4戦出場で19年パナソニックオープンの26位が最高成績。得意クラブはドライバーで平均飛距離は285ヤード。171センチ、70キロ。家族は両親と姉、弟。

 ◆ゴルフ界・過去の主な異色ルーキー

 ▽宮里藍 東北高3年時の2003年、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで史上2人目のアマチュア優勝。プロ転向し、地元・沖縄での04年開幕戦でツアー4戦目の日本人最速でプロ初V。“藍ちゃんフィーバー”で女子ゴルフブームを呼んだ。

 ▽石川遼 杉並学院高1年時(15歳245日)、07年のマンシングウェアKSBカップで世界主要ツアー最年少優勝を果たし、08年1月にプロ転向。同年ツアー1勝を挙げ、賞金ランク5位と活躍。“ハニカミ王子”としてフィーバー。

 ▽田村尚之 49歳でプロテストに合格。52歳で迎えた16年のシニアツアー・富士フイルム選手権で初優勝。一般企業に籍を置き、総務部長の肩書を持つ異色プロとして注目。

 ▽三浦桃香 18年の序盤戦で優勝争いに絡む活躍を見せた美人ルーキー。当時は芸能プロダクションと契約。飛ばし屋で多くのギャラリーを引き連れた。

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