日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は25日、コロナ禍で試合数が大幅減となったツアーの開催方式を変更し、2020年と21年を合わせて一つのシーズンとすることを発表した。シード権は来年に持ち越され、今年は史上初めて賞金女王が誕生しない年となる。小林浩美会長(57)は、テレビ会議アプリ「Zoom」による記者会見で、シーズンの“開幕戦”となる可能性がある6月のアース・モンダミンカップ(25~28日、千葉・カメリアヒルズCC)の開催については「鋭意検討中」と話すにとどめた。
コロナ禍でツアーは既に、今年の全37試合中、約半分の18試合が中止となっている。これを受けて、小林会長は「賞金ランキングなどは選手の総合的な実力を反映したものにならない。(ランキング順に)翌年のシード権を付与することは適切でないと判断した」と説明。このため、今年の残り試合と来年を20―21シーズンとして一つに統合し、出場資格は、前年の19年の成績に基づいたものが持ち越されることになった。
この新たな仕組みにより、今年は賞金女王が生まれない。もし今後、開幕から年内の賞金レースを独走する選手がいたり、有力選手が出遅れた場合も、21年と合算となるため、女王の座の行方は読めない。また、総試合数が未定だが、1年半であれば、15年のイ・ボミ(韓国)のシーズン最多獲得賞金約2億3000万円を超える選手が出てくる可能性も十分あり得る。
一定の範囲を超えた保障は芳しくないという理由から、シード選手の資格が生かされるのは、20―21シーズンの開催試合数が34試合に達するまでとされた。一方で、秋に実施予定のプロテスト合格組が21年のツアー出場権を得られるのか、QT(予選会)は実施するのか、さらに出場義務試合数についての規定などは明言しなかった。
今後のツアー開幕の見通しについて、小林会長は政府の緊急事態宣言解除後の対処方針を確認して、専門家からの進言をもとに判断する方針を示した。直近では1か月後に迫ったアース・モンダミンカップが、20―21年シーズンの開幕戦として開催の可能性を残すが「鋭意検討中でございます」とした。同大会直後、7月の2試合は中止が発表されている。
JLPGAは、21年の大会については総出場人数を増加してもらうよう、主催者に要望していく。同会長は「出場資格を持っていない選手は大会出場機会が減少してしまうため、来年はできるだけ多くの選手が出場できるように、収入を得るチャンスを作りたいと考え、主催者の皆様にお願いさせていただきます」と方針を述べた。
◆ツアー出場権 シード権は前年度の賞金ランク50位までの選手、前年度のツアー優勝者に与えられる。渋野日向子らメジャー優勝者、賞金女王は3年シードを獲得。通算30勝以上の6人は永久シード。18年にメジャー3勝した申ジエ(韓国)は7年シード(19~25年)。前年度の賞金ランク51~55位、前年度の下部ツアー賞金ランク2位までに前半戦出場権が付与され、予選会(QT)ランク上位者も出場できる。さらに、主催者推薦などがある。