今年から就任した男子プロゴルフの時松隆光選手会長(筑紫ケ丘GC)が、26日までにテレビ会議アプリ「Zoom」でスポーツ報知のインタビュー取材に応じた。新型コロナウイルスの影響で国内男子ツアーは4月以降、7試合が中止となり、先行き不透明な状況が続く。通算3勝の26歳は国内女子ツアーとは異なる現状や将来像、動画撮影解禁など、思い描く具体的な施策などについて語った。(取材・構成=榎本 友一、岩原 正幸)
国内女子は25日に20~21年シーズンの統合や出場資格の持ち越しを発表した。男子も日本ゴルフツアー機構と選手会で協議中。外国人選手を巡る渡航制限解除などの難問を抱える。
「国内男子はシード選手の約半数が外国人です。慎重かつ、公平にというか。不公平な選手が出ないように意見を探っています」
国内男子は早くても7月以降の再開予定。選手以外にキャディーやトレーナーも経済的に厳しい状況だ。
「個人事業主には新型コロナの持続化給付金がありますが、米男子ツアーは選手とキャディーへの金銭支援もしている。選手会では日本でも形にしたいねという話はあります。詳細はまだ決まっていませんが」
1月に石川遼(28)からバトンを受けて選手会長に就任。新型コロナの影響でいきなり難局を迎えた。
「初めて選手会の理事に選んでいただいたと思ったら、いきなり大役をやらせていただくことになって(苦笑い)。数か月たちましたけど率直に言えば大変です。やっぱりゴルフ以外の対応(取材やあいさつ回り)がすごく増えるので」
歴代選手会長経験者の池田勇太副会長(34)、石川副会長にいろいろと相談する。
「勇太さん、遼さんは存在が大きいですね。分からないことが多いので、すごく感謝しています」
ツアー中に練習や食事もともにする池田からは、スーツ姿への助言も受けた。
「ネクタイに関してお前のダサいなって言われています(笑い)。『今度、オレのをやるよ』って言っていただいているけど、コロナが落ち着いたら探しに行かなきゃと思っています」
まじめで律義ないじられキャラ。安定したゴルフはツアーの誰もが一目置く。
「やっぱり『男子ゴルフが良くなってきたね』と言っていただくのが目標。大変ですけど何とかしたい。まずは、ゴルフファンや見に来ていただいたギャラリーの方に喜んで帰っていただく。テレビで見ている方にも『男子ゴルフはすごいね』って言っていただけるようになればいい」
ファンや新規ギャラリーを増やすため、具体的な施策も頭にはある。
「米男子のPGAツアーは試合中の観客の動画撮影を許可している。例えば300ヤード超えのティーショットであったり、100ヤード以内からバックスピンで(ピンに)寄せたりとか。男子プロならではのものを撮っていただいて。それがSNSを通じて、ギャラリーからゴルフを知らない方にも伝わり、興味を持ってくれる。日本もそうなっていければいいと思う」
今季7試合が中止に。選手会長は無念さと同時に感謝の気持ちを抱いている。
「残念ではありますが、感染が拡大しないようにご決断いただいた。各主催者の方には深くお礼を申し上げたい。一日も早く収束してくれることと、なるべく被害が少なく、最小限におさまるのが一番の願いです」
◆今季目標は「優勝」
時松は選手としての今季目標を「去年、優勝できなかったので、今年は優勝したい」とツアー史上8人目の選手会長Vを掲げた。「アイアンの抜けが良い」と今年からミズノ社と総合契約を締結し、クラブに加えバッグやウェアも同社製に一新。福岡県内の自宅と所属先のゴルフ場で練習とトレーニングに励む。小技を集中的に練習し、パットは「1メートルから2メートルくらいで、300球くらい」打ち込み、例年以上の手応えをつかんでいる。
◆時松 隆光(ときまつ・りゅうこう)1993年9月7日、福岡市生まれ。26歳。5歳でゴルフを始め、沖学園高1年で全国高校選手権団体優勝。2012年プロ転向。16年7月のダンロップ・スリクソン福島オープンで初優勝。同月のツアー外競技、ネスレ招待日本プロマッチプレー選手権レクサス杯も制して賞金1億円を獲得。本名は源蔵で「ゲンちゃん」の愛称で親しまれている。168センチ、75キロ。家族は両親。