2019年6月9日、男子ゴルフで新たなスター候補が誕生した。国内メジャー第1戦の日本ツアー選手権森ビル杯(茨城・宍戸ヒルズCC)。ツアー参戦5年目の堀川未来夢(当時26)は最終日を68で回り、通算15アンダーで、初日から首位を譲らず完全優勝を果たした。ツアー初優勝がメジャーだったのは史上26人目。賞金王で同学年の今平周吾を4打差で振り切った。
この試合で男女ツアー通算38勝目(非公式の歴代最多記録)を挙げた清水重憲キャディーと二人三脚でつかんだ優勝だった。元賞金女王イ・ボミ(韓国)とコンビを組んだことでも有名な清水キャディー。17年大会で初コンビを組んだ時の堀川の印象を「シード選手で一番下手だった」と振り返る。そこから〈1〉パットの距離感を合わせる〈2〉アプローチの習得〈3〉120ヤードを2ピン(5メートル)以内へ、この三か条を口酸っぱく説かれ、支えてくれた。堀川は「コーチか、というくらい清水さんには教わりました」と感謝を口にした。
もちろん、本人の努力のたまものでもある。2014年11月のプロ転向時から14キロ増量し、体重85キロのマッチョな体つきになった。飛距離は1年間で15ヤード伸ばした。そこに課題だった「3パットを減らす練習」を地道に重ねた。清水氏の助言の効果で小技が武器になった。
初優勝で5年シードを手に入れ「アジア、欧州から海外にも出たい」と夢は広がった。現在は「ツアーが開幕できるようになったら、最高のパフォーマンスが出せるように」と7日に行ったインスタライブでコメントし、再開の時に備えている。(岩原 正幸)