日系23歳コリン・モリカワ、全米プロ初出場V 世界ランク浮上!東京五輪で父の祖国“凱旋”へ


 ◆米男子プロゴルフツアー メジャー初戦 全米プロ選手権 最終日(9日午前7時スタート、米カリフォルニア州TPCハーディングパーク=7142ヤード、パー70、賞金総額1100万ドル(約11億6000万円)、優勝198万ドル(約2億900万円)、参加79人)

 地元・カリフォルニア州出身で日本人の父を持つコリン・モリカワ(23)=米国=が2打差4位から出て着実なゴルフで1イーグル、4バーディー、ボギーなしの64をマーク。大会初出場ながら通算13アンダーでメジャー初優勝を果たした。米ツアー3勝目。世界ランクは12位から5位に浮上し、来年の東京五輪米国代表候補に名乗りを上げた。18位で出た松山英樹(28)=LEXUS=はショットに精彩を欠き4バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの70と伸ばせず、4アンダーの22位で終えた。

 今季勢いに乗る日系の新鋭が、“世界ナンバーワンプロゴルファー”の座まで駆け上がった。一時は7人が首位に並んだ最終日後半。プロ2年目でメジャー2戦目のモリカワが、大混戦を抜け出した。最終18番。20センチのウィニングパットを沈めると、いたずらっぽい笑顔でキャディーと軽くハグを交わした。「初日から自分を信じていた。(大学)4年間を過ごしたサンフランシスコで勝てて、とても特別」。熟知するコースで、臆することなく逆転劇を演じた。

 最終組の1つ前の組でプレー。首位に並んで迎えた14番で勝運をたぐり寄せた。グリーン右手前15ヤードからチップインバーディーを奪い、右拳を突き出した。そして、1打リードで迎えた294ヤードと短いパー4の16番がハイライトとなった。「自分の距離だった」と迷わずにドライバーを握った。力まず真っすぐに飛ばし、ピン手前2メートルへ。「(新型コロナ対策で)無観客だったのが残念」と歓声が起きないさみしさは感じたが、イーグルパットを沈めた。

 身長175センチ。今季平均飛距離は295・9ヤード(ツアー107位)だが、ショットの精度が光る。今大会のフェアウェーキープ率は69・64%で全体1位。飛ばし屋が上位にそろう中、着実なゴルフでボギーなし。第3R、最終Rでの計129打はメジャー史上最少記録だ。「本当に落ち着いてできた。こんなに早くメジャーに勝てるとは」とさわやかに笑った。

 父が日本人、母は中国系で「僕はハーフジャパニーズ。3世か4世だと思う」と話す。日本語は話せないが日本食を「世界一の食べ物」と評し、前夜も交際中のキャサリン・スーさんと「うどんを食べた」という。昨秋のZOZOチャンピオンシップでも来日しており「ぜひまた日本に行きたいね」と、来夏の東京五輪出場も視界に入っている。

 幼少からゴルフを始め、名門大学で経営学を専攻。成績も優秀で人柄も抜群だ。高精度のショットを武器に、今季18戦で3度の優勝争いなどトップ10入り6回。戦後ではマキロイ(英国)ニクラウス(米国)に次ぐ若さで全米プロ王者となった。「これはまだキャリアのスタート」とモリカワ。新様式のメジャーで、新時代のスターが誕生した。

 ◆コリン・モリカワ 1997年2月6日生まれ。23歳。日本人の父、中国系の母を持つカリフォルニア州出身の日系米国人。18年に世界アマチュアランク1位。カリフォルニア大バークレー校卒業後、19年にプロ転向。6戦目の同年7月のバラクーダ選手権で米ツアー初優勝。20年のワークデーチャリティーオープンで2勝目。プロデビューから、ウッズに次ぐ歴代2位の22戦連続予選通過も果たした。ツアー通算28戦3勝。175センチ。73キロ。

 ◆米国男子の東京五輪への道

 2021年6月21日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権を得る。〈1〉15位以内は各国・地域で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含み最大2人が出られる。世界ランク5位に浮上したモリカワは、同2位のジャスティン・トーマス、同4位のダスティン・ジョンソンに続き、米国勢3番手の出場圏内につける。五輪の日程は21年7月29日から4日間、埼玉・霞ケ関CC東Cで72ホールストロークプレーの個人戦で競う。16年リオ五輪でマット・クーチャーが銅メダルを獲得した。

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