◆男子プロゴルフツアー 国内メジャー第1戦 日本オープン第2日(16日、千葉・紫CCすみれC)
1打差2位で出たアマチュアの河本力(りき、20)=日体大3年=が5バーディー、3ボギーの68で回り、通算5アンダーの単独首位に浮上した。66をマークした杉原大河(20)=東北福祉大3年=、桂川有人(22)=日大4年=とともに、アマ3人が2位以内に入るのは国内最古のメジャーで初めて。新型コロナウイルスの影響にもよる超異例の事態で、1927年の赤星六郎以来2人目のアマVの可能性が浮上。河本か杉原が勝てば、大会史上初の予選会からの“成り上がりV”の快挙にもなる。
非常事態下での国内最高峰のメジャーで、空前の“アマチュア旋風”が吹き荒れた。大会初出場の河本はコロナ禍で72年の有料観客動員後、初の無観客の中、伸び伸びとプレー。アイアンショットを次々とピンに絡めて13番は5メートル、14番は7メートルにつけてバーディー。1番で2メートルを決めて伸ばすと単独首位に立った。「ティーショットが半分以上、フェアウェーに行っているので、しっかりチャンスにつながっている」と分厚い胸を張った。
183センチ、85キロ。「平均330ヤード」を誇る規格外の飛距離が武器だ。ドライバーは数回しか握らず、3ウッドや2アイアンで第1打を放ち、フェアウェーキープを優先。着実にグリーンもとらえてパーオン率は69・44%で全体4位に上る。
日本男子ツアーを主管する99年の日本ゴルフツアー機構発足後、アマが5位以内に3人入るのは初。「仲のいい同級生が頑張っていると、自分も頑張らないと、とは思う」と小学時代からの好敵手・杉原にも刺激を受けた。
最終予選で一度は敗退も、海外からの入国制限で、外国人シード選手の出場がゼロとなり、初めて出場権をつかんだ。予選会からの出場での優勝ならば大会初の快挙となる。姉・結(22)は日本ツアー1勝の女子プロだ。
「プロになって早く米国で戦いたい」という20歳は、今年から米ツアーを主戦場とする姉に今大会前「早くこっちにおいで」と言われて発奮中だ。「自分に勝てる実力があるとは思っていない。トップ10に入れたらいい」。無欲で73年のツアー制施行後、初のメジャーでのアマVに挑む。(榎本 友一)