国内男子プロゴルフツアーの2020年最終戦、日本シリーズJTカップは3日から4日間、東京・稲城市の東京よみうりカントリークラブ(CC、7023ヤード、パー70)で開かれる。昨年大会覇者の石川遼(29)=カシオ=が、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。コロナ禍での開催に感謝し、「良い形で締めくくれたら」と6人目の連覇へ意欲を燃やした。ゴルフに対する考え方を変え、「方向転換」とした1年の胸中も激白した。(聞き手・榎本 友一)
新型コロナウイルスの影響で今年の国内男子ツアーは25戦中20戦が中止。日本シリーズJTカップは初の無観客開催となった。
「本来のJTカップは最終戦で賞金王が決まる位置づけ。コロナ禍の今年も開催していただけることには、すごく感謝しています」
大会の出場資格は、今年開催5大会の「上位3位以内」など変更が施された。
「今年は少ないチャンスを生かして出てきた、すごく勢いのあるフレッシュなメンバー。これはこれで楽しみですね」
12度目の出場となる、東京よみうりCCの攻略ポイントも例年と変わらない。
「やっぱりまずはグリーン。ラインの曲がり幅が非常に大きなグリーンなので、しっかりと読み切ることが大事。それと元々はパー5で、難しいパー4の4番と11番。すごく攻めがいのあるホールで、2つのパー5(6番、17番)も含めてカギになると思いますね」
予選落ちのない4日間大会で6人目の連覇に挑む。
「出場さえできれば優勝の確率は単純に30分の1。最初の2日間が終わって上位にいたい気持ちが強い。去年に近い試合運びが理想的かなと思う。非常に難しいコースなので我慢というか、崩れないことが大事。今年は全試合、初日に出遅れているので、焦らずにやり切ることが大切かな」
今季はパーオン率が65・56%(ツアー33位)から69・17%(同10位)に上がり、安定感が増してきた。
「すごく肌で感じています。ダブルボギーを全く打たないゴルフも、僕は評価が高いと思う。ボギーをパーにするより、圧倒的にダボをボギーにしていくことの方ができると思う。そこをいかに減らせるかを試合では気をつけたい。そこはこの1年で、自分のゴルフに対しての方向転換期だったかなと思います」
今年は毎試合落ち着いてやることを徹底。ゴルフや表情にゆとりを感じる。
「本当にゴルフの楽しみ方が変わりました。去年までは結構、新しい情報を取り入れて週替わり、日替わりで違うことに取り組んでいた。球を右に置いたら良くなった、次の週は左に球を置いたら良くなった、みたいな。攻め方も一辺倒で場当たり的だった。先々週のダンロップフェニックスは、全く理想的なゴルフではなかったんですけど、今までうまくいっていなかったコースで3日間67(8位)と数字を残せた。必ず理由があるはずだと練習ラウンドでいろいろコースをチェックをして。そういうのを楽しんでいますね」
今年はコロナ対策で国内では無観客開催が続いた。
「違和感がありますし、非常に寂しいです。僕がPGA(米)ツアーに出ていた時の感覚を思い出します。タイガー・ウッズなどすごい選手の周りにはギャラリーが多かった。自分はそうじゃなかったので」
今年は日本プロゴルファー生誕100周年となった。
「日本でプロゴルフができているのは、先人の皆さんに感謝です。大会やツアーがあるのは、本当に恵まれていると思います。昔からの歴史があって今がある。JTカップのように50回を超える大会もいくつもありますし。またブームや波を作っていけるように頑張りたいです」
特別な1年の締めくくりのJTカップ。テレビの前で応援してくれるファンに熱いプレーで応えるつもりだ。
「映像を通して応援していただけるファンの皆さんに、今年も良いプレーを見せられればいいなと思う。非常に少ない試合の中で、変化も収穫もたくさんある年だった。楽しんでいい形で締めくくれたらいいな」=〈2〉に続く=
◆石川の昨年大会優勝VTR 初日を68で3打差8位で滑り出すと、2日目は70で4打差8位。3日目に68で2打差5位と追い上げ、最終日に7バーディー、3ボギーの66で通算8アンダーで並んだケネディ(豪州)とのプレーオフへ。3ホール目で2・5メートルのバーディーパットを決め、15年以来4年ぶりの大会2勝目。17年大会の宮里優作以来、2人目の選手会長Vを達成し、28歳82日の最年少で生涯獲得賞金10億円を突破した。