オヤジ世代も熱い!藤田寛之、50代初2イーグル「ビックリ」


12番、ティーショットを放ち柔らかな表情を見せる藤田(左は小斉平)

12番、ティーショットを放ち柔らかな表情を見せる藤田(左は小斉平)

 ◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第2日(4日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70=報知新聞社主催)

 第2ラウンド(R)は10位で出た12年まで3連覇の藤田寛之(51)=葛城GC=が、記録が残る1985年以降大会初となる50歳以上での1R2イーグルを奪い、66をマーク。通算6アンダーで首位に2打差の5位に浮上し、18年日本プロの谷口徹の50歳92日を更新するメジャー最年長Vを視界にとらえた。大会史上6人目の2連覇へ8位でスタートした石川遼(29)=カシオ=は70で回り3アンダー。5打差7位に順位を上げた。

 グリーンに着弾した第2打は、吸い寄せられるようにカップに向かっていった。17番パー5。藤田が残り192ヤードから放った7アイアンでのひと振りは、ピン右下50センチで止まった。「めったにないことが起きた。逆光で見えなくて、行ってみたらめちゃくちゃ近くてビックリ」。同じくパー5の6番では、グリーン左からのアプローチがピンに当たってカップイン。記録が残る1985年以降、大会初の50歳以上での2イーグルだった。

 43歳だった12年に大会初の3連覇を成し遂げ、ツアー最年長の賞金王初戴冠を決めた。「中年の星」と呼ばれた当時は「僕は体より気持ち。気持ちが折れたら終わり」と自負していた。同世代が「マネできない」と声をそろえた尽きることない向上心を支えに、40代を駆け抜けた。あれから8年。「最近は自分をなぐさめる自分がいるんですよ」。50代を迎える直前に生じた変化を自覚している。「もういいんじゃない?」「そこまでやらなくていいんじゃない?」。ささやくもう一人の自分に必死にあらがい、生きている。

 大会中でも連日200~300球を打ち、パターで2時間転がしていた。今では体が耐えられない。練習量は以前の半分以下に減った。故障につながらないギリギリのラインを探りながらの日々は苦しく「ゴルフがその頃よりさびついていることは間違いない」。昨年からボールを蛍光イエローに変えたのは「遠くが見えなくなったから」。今年8月にシニアツアーにデビューしたことを機に「ここで生きたい」という、レギュラーツアーへの思いを強くした。

 今大会で14年ダイヤモンドカップ以来の19勝目を挙げれば、谷口徹の50歳92日(18年日本プロ)を更新するメジャー最年長優勝。「勝つとか、だいそれたことは考えていない。今の自分は信用できない。ビビリながらですよ」。誰よりも東京よみうりCCを知り尽くした51歳がまた、歴史に新たな名を刻む。(高木 恵)

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