◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ最終日(6日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)
4打差6位から出た石川遼(29)=カシオ=は1イーグル、1バーディー、2ボギーの69と伸ばしきれず、通算4アンダー6位に終わった。67で回り8アンダーで優勝した米国のチャン・キム(30)=PING=に4打及ばず、史上6人目の大会連覇を逃し、試合後には悔し涙を浮かべた。チャンスで決め切れない展開が続き、今年は未勝利で終えたが、今春からの新たな取り組みに手応えを示し、2021年を勝負の年と位置づけた。
石川はプレーを振り返るにつれて感情がこみ上げてきた。「いやあ、悔しいですね。本当に悔しい。勝ちたかったですし…」。言葉を詰まらせ、両目に涙をためた。「今週も(思うようにクラブが)ボールに当たらず苦しいゴルフが続いたけど、我慢はできた。今までだったら無理だった。成長は感じるけど、すごい悔しい」。連覇を逃した無念さが手応えを上回った。10分の取材で5回、「悔しい」を口にし、涙がこぼれ落ちぬように指で目頭を拭った。
4打差を追ってスタートし、最善は尽くした。2番から4メートル、2メートル、5メートル、3メートル、3メートルと好機を作り続けたが決まらない。左ドッグレッグの7番、ドライバーの第1打は前方の林を越えグリーン手前の花道まで飛んだ。距離を稼いだ形で、2打目を1・5メートルに寄せた。執念を見せたが、バーディーパットは無情にもカップを抜けた。「(バーディーが)欲しい日に限って来ない。泣きたくなった」。8番は1・5メートルがカップに蹴られ、9番の3パットで初ボギー。全体29位の34パットとグリーン上での苦戦が響いた。
史上6人目の連覇は幻に終わったが、15番はカラーから6メートルを沈め初バーディー、17番パー5では4アイアンの第2打を1メートルにつける意地のイーグル。「優勝が厳しくなってからも気持ちを切らさずプレーできたのは収穫」。最後まで集中力を保ったことを誇った。
今春から新たに田中剛コーチ(41)に師事し、高い再現性を求めトップの浅いスイングに取り組み、データを重視。「方向転換」とした変化の1年は9か月目に突入した。「試合を追うごとに質が良くなっている」と石川。大会中も連絡を取り、コーチが気付いた点のフィードバックを受ける。20年は未勝利に終わったが、涙が乾くと「(来年3月までの)1年は突っ走って、まずはやり切る。2年目が楽しみ。大きな弾みをつけたい」と見据えた。
21年初戦はコロナ禍で未定だが、「将来的にPGA(米)ツアーしか目指していない」ときっぱり。自身は納得していないが、この日のパーオン率88・89%は1位、4日間の同73・61%は2位と進化も見て取れる。「さらに良い形にして次の試合に向かいたい」。今年最終戦の悔しさを将来への糧とする。(岩原 正幸)