
18番、パーパットを決め、両手を広げて喜ぶ金谷拓実(右は石川、左は優勝したC・キム=カメラ・今西 淳)
◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ最終日(6日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)
2打差3位で出た通算2勝の金谷拓実(22)=東北福祉大4年=は4バーディー、4ボギーの70と伸ばせず、通算5アンダーの5位で終えた。1973年のツアー制施行後、最速のプロ転向4戦目でのメジャー制覇はならずも、4戦連続トップ10入り。コロナ禍により20―21年が統合されたシーズンで、賞金ランク首位と約480万円差に縮め、13年の松山英樹以来2人目のルーキー賞金王への期待が膨らんだ。
1年後の“予行演習”かのような光景だった。最終18番。ピン下2メートルからの金谷のパーパットは、大きく曲がるフックラインを転がってカップ縁で一瞬止まった。最後の一転がりでカップの底をたたくと、グリーン上の大学生プロは笑顔で両手を広げて万歳。関係者の拍手に帽子を取って応える姿は、まるで賞金王に輝いた瞬間のよう。アイアンショットが乱れて70と伸ばせず5位に終わったが「最後は入り方が特殊だった。いい経験でした」と手応えをつかみ、20年最終ホールを締めた。
新型コロナの影響で今季は20―21年統合シーズンとなった。元世界アマチュアランク1位は今年10月にプロ転向。11月のダンロップフェニックスでの1勝を含む4試合連続のトップ10入り。獲得賞金は3639万5000円となり、ランク3位で21年へ向かう。今年1年を「80点」と自己評価し、漢字一文字で「歩」と表現。「プロとしてスタートを切った年だし、歩き出したという意味」と目を輝かせた。
黄金ルーキーのオフは短い。年内は大学のある仙台で練習予定。「(9月以降2度の米ツアー出場で)自主隔離が続いて、スイングスピードが落ちていた。しっかりレベルアップしたい」と再出発する。年末は地元・広島に帰省し、1月の米ツアー、ソニーオープン(14日開幕・ハワイ)から出場予定。現在日本勢5番手の世界ランク126位で「海外でプレーしたいので、まずは世界ランクを上げること。東京五輪も控えているので」と力を込めた。
来年、賞金王となればルーキーでは13年の松山以来2人目の快挙だ。09年の石川遼(18歳)、13年の松山英樹(21歳)に続く年少3番目となる。「まだ1年あるし、どの試合もベストを尽くした結果が賞金王につながると思う」。日本ゴルフ界の未来を担う22歳は、大きな夢とともに一歩一歩、トッププロへの階段を上っていく。(榎本 友一)