渋野日向子 “遼コーチ”助言で21年初戦7差発進


観戦した女の子に向かって、笑顔で手を振る渋野日向子(カメラ・今西 淳)

観戦した女の子に向かって、笑顔で手を振る渋野日向子(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー ダイキンオーキッドレディス第1日(4日、沖縄・琉球GC=6561ヤード、パー72)

 ツアーでは1年3か月ぶりに観客を入れ、21年初戦が始まり、大会初出場の渋野日向子(22)=サントリー=は3バーディー、2ボギーの1アンダー、71で首位と7打差の20位発進した。昨年末、17年から続いた青木翔コーチ(37)との師弟関係を解消したことを明かし、今オフは男子の石川遼(29)=カシオ=からも助言を授かったと口にした。米ツアー挑戦を見据えた“ニューしぶこ”の取り組みは上々のスタートを切った。8アンダー、64の西郷真央(19)=大東建託=が単独首位。

 帰ってきたファンの歓声に、渋野の笑顔が輝いた。1番で第1打を左に曲げ「朝からチーピン打ってどうなるかと思った」と渋い表情だったが、3番で初バーディーを奪うと上機嫌に。20―21年季で初めて一日1000人の上限で有観客となった今大会。約300人を引き連れた人気者は「いいショット打った後の拍手だったり、ギャラリーさんの大切さを感じた。お客さんがいないと本領発揮できないな」と感謝した。後半にスコアを一つ伸ばし「最終的に1アンダーで回れて良かった」と上々の21年のスタートだった。

 強い覚悟で今年初戦を迎えた。会見では昨年限りで青木コーチとの師弟コンビ解消を告白した。「自分で考えながらやりたいと思うようになった。卒業した感覚。『自分でやって分からないことがあったら、いつでも頼っておいで』と言ってもらえた」。自立してから初の試合で少なからず不安もあった。19年全英優勝をキャディーとしても支えた恩師に対し「青木さんがいてくれなかったら今の自分はない。本当に感謝しかない」と胸を熱くした。

 新たなコーチは付けていないが、迷ったときは周囲からはアドバイスをもらった。その一人が石川遼だ。トップの位置を低めにした今年のスイングを「横振りに近い。(打球方向で)左へのミスを消したい」と渋野は表現した。「昨年から(医療従事者支援チャリティーでの共演など)お世話になっている石川遼プロから助言をいただき、少しずつやっている」と説明した。

 この試合からのウェッジ4本態勢や、2日の練習ラウンドで回らなかったイン9ホールでもウェッジとパターを持ち、歩いてコースを下見するなど随所に“遼イズム”の継承が見て取れる。「米ツアー挑戦への準備」と位置づける21年。「明日もこのスコアを落とさないように」と控えめながら、さらなる飛躍を目指し、新たな気持ちで首位との7打差を追う。(岩原 正幸)

 ◆渋野と青木コーチ 1回目のプロテストに不合格となった17年後半から指導を受け、翌18年7月プロテストに合格。ルーキーイヤーの19年はコーチの下で、国内ツアー4勝&賞金ランク2位。同年夏のAIG全英女子オープンでは青木氏がキャディーとして支え、日本人42年ぶり2人目の海外メジャー制覇を達成した。

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