男子ゴルフの21年メジャー初戦、マスターズは4月8日から4日間、米ジョージア州オーガスタナショナルGC(7475ヤード、パー72)で開かれる。昨年の全米プロ選手権王者で世界ランク4位のコリン・モリカワ(24)=米国=は、有観客開催試合で自身初のメジャータイトル獲得に意気込んでいる。
幼少からゴルフを始め、名門大学で経営学を専攻。成績も優秀で人柄も抜群だ。再現性と精度の高いショットが特長。カリフォルニア大バークレー校在学中の2018年、世界アマチュアランク1位に輝いた。19年にプロ転向後6戦目で初優勝を飾ると、米ツアーデビューから22試合連続で予選通過。タイガー・ウッズ(45)=米国=の25試合に続くツアー歴代2位の記録だった。その後もツアー屈指の抜群の安定感を誇っている。
父が日本人、母は中国系で「僕はハーフジャパニーズ。3世か4世だと思う」と話す。日本語は話せないが日本食を「世界一の食べ物」と評し、交際中のキャサリン・スーさんと寿司やラーメン、うどんを食べるという。19年10月のZOZOチャンピオンシップでも来日しており「ぜひまた日本に行きたいね」と、今夏の東京五輪出場も視界に入っている。
昨年8月。戦後ではロリー・マキロイ(英国)、ジャック・ニクラウス(米国)に次ぐ若さで全米プロ選手権王者となった。コロナ禍で無観客のメジャーを制したが、その後「毎週良いプレーをしなければ」という重圧に襲われ続けたという。初出場だった昨年11月のマスターズも、通算イーブンパーの44位に終わった。
そんな中で迎えた、今年2月の世界選手権シリーズ(WGC)、ワークデー選手権。持ち味の正確なアイアンショットを武器に通算18アンダーで、2位に3打差をつけて逃げ切ってツアー通算4勝目を手にした。4大メジャーとWGCを25歳以下で制したのは、ウッズ以来2人目の快挙となった。
この大会前にはウッズが交通事故で重傷を負った。大会最終日に、ウッズへのエールも込めて着るはずだった、同選手の代名詞の赤と黒のウェアが輸送トラブルで間に合わず。それで最終日前夜に「僕はタイガーのように戦おう、と思ったんだ。僕はタイガーを見て育ってきた。タイガーは僕の全て。早く回復して欲しいね」と、モリカワは端正なマスクを崩しながら振り返った。
世界ランク50位以内がほぼ全員そろうWGCの分厚いフィールドで、確かな自信を手にした。マスターズ5勝を誇る憧れのスーパースターに、オーガスタから“後継者”として吉報を届けるつもりだ。
◆コリン・モリカワ 1997年2月6日生まれ。24歳。日本人の父、中国系の母を持つカリフォルニア州出身の日系米国人。18年世界アマチュアランク1位。カリフォルニア大バークレー校卒業後、19年プロ転向。6戦目の同年7月、バラクーダ選手権で米ツアー初優勝。20年ワークデーチャリティーオープンで2勝目。米ツアー通算4勝。175センチ。73キロ。