松山英樹がマスターズ日本人初制覇へ10度目の挑戦「一番勝ちたいメジャー」


オーガスタナショナルGCのクラブハウス前で記念撮影する松山英樹

オーガスタナショナルGCのクラブハウス前で記念撮影する松山英樹

 男子ゴルフの2021年メジャー初戦、マスターズは4月8日から4日間、米ジョージア州オーガスタナショナルGC(7475ヤード、パー72)で開かれる。日本人歴代最多米ツアー5勝の松山英樹(29)=LEXUS=は、8年連続10度目の出場で日本人初優勝を目指す。「一番勝ちたいメジャー」と公言してきた、松山の過去9度の挑戦を大会ごとのコメントなども交えて振り返る。

 ◆松山英樹のマスターズ挑戦史

 ▼2011年4月 藤田寛之、池田勇太、石川遼とともに、日本人アマチュアとして大会初出場。第1ラウンド(R)は、上がり3連続ボギーを喫しながらも72の31位で滑り出した。第2Rは73で、1オーバーの43位とギリギリで予選通過を果たした。第3Rは日本人史上6番目(当時)の好スコアの5バーディー、1ボギーの「68」をマークして18位へと浮上。最終Rは74で通算1アンダーの27位となり、日本人初のローアマ獲得の快挙を成し遂げた。日本人で初めて表彰式にも出席し「日本の被災地はまだまだ大変だけど、マスターズでのプレーが希望と喜びを少しでも与えられたと思います」と力強くスピーチ。宮城の東北福祉大2年生は、東日本大震災直後の東北に大きな勇気を届けた。

 ▼2012年4月 石川遼とともに、アマチュアで2年連続出場。第1Rは71で首位に4打差の14位で発進した。第2Rは74で31位後退。第3Rは72で27位へと浮上し、他のアマチュアに6打差をつけ、過去4人しかいない2年連続ローアマ獲得に王手をかけた。だが、最終Rはグリーン上で苦しんで「80」と崩れ、通算9オーバーの54位。「自信を持っていたパッティングでこんなに打ったことがふがいない」とローアマを逃して悔し涙を流した。

 ▼2014年4月 日本の賞金王として、43年ぶりとなる日本勢唯一の出場。プロ転向後大会初出場の第1Rは左手首痛の影響もあり、4パットに3度の3パットを含む39パット。13年4月のプロ転向後ワーストとなる「80」で90位と出遅れた。第2Rも71にとどまり、通算7オーバーの68位。「予選落ちをしたら悔しい以外に何もないです」と3打及ばずプロ転向後、米ツアー参戦16戦目で初の予選落ちを悔しがった。

 ▼2015年4月 2年連続で日本勢唯一の出場。第1Rは71で18位で発進した。第2Rは2番で大会自身初イーグルを奪うなど、70で12位へ浮上。第3Rは30パットも70と伸ばして10位に順位を上げた。最終Rは1イーグル、4バーディー、ボギーなしでこの日のベストスコア&大会日本人最少スコアに並ぶ「66」をマーク。23歳は日本人歴代最少スコアの通算11アンダーに加え、日本人大会初の3日連続イーグル、日本人大会初の4日連続アンダーパーなど記録ずくめで自己最高の5位に入った。「来年はしっかりと優勝争いできる位置で4日間戦いたい。優勝したときに歴史が変わると思う」と、停滞していた日本男子ゴルフ界を変える歴史的勝利を誓った。

 ▼2016年4月 3年連続で日本勢唯一の出場。第1Rは71で自己最高の13位発進を決めた。第2Rは72で5位へ浮上。第3Rも強風に耐えて、72で2差3位と首位に肉薄した。日本人初優勝が期待された最終Rは前半、ショットミスでつまずき、後半もチャンスでパットを決めきれず、73で通算イーブンパーの7位となった。「ショートアイアンからミドルアイアンでミスが多かったのが苦しかった。(優勝は)近いようで遠いような感じがあります。もっともっと優勝争いをして、良いニュースを届けられるように頑張りたい」と日本人初となる2年連続のトップ10入りで、翌年の出場権を確保した。

 ▼2017年4月 谷原秀人、池田勇太と日本勢3人で出場。第1Rは35パットと大苦戦し、76で首位と11打差の54位と出遅れた。第2Rは卓越した小技で70と伸ばして16位へ浮上。第3Rは18番での4パットのダボなどパットが乱れ、74で28位へと後退した。最終Rは7バーディー、2ボギーでこの日のベストスコア「67」をたたき出した。「昨年末くらいのパットができれば(マスターズで)絶対勝てるという自信はあるので、そういう状態が来年のここで来るように練習したい」と手応え。11位で3年続けて翌年の出場権も獲得した。

 ▼2018年4月 宮里優作、池田勇太、小平智と日本勢4人で出場。前年の結婚後、妻子が初観戦に訪れた第1Rは、73で首位と7打差の29位発進。第2Rは左手痛が再発して71で18位へ浮上。第3Rは計33パットとグリーン上で苦しみ、72と伸ばせず21位に後退。それでも最終Rは、日本人歴代最多に並ぶ4度目の60台となる4バーディー、1ボギーの「69」をマークして通算3アンダーの19位で終えた。「けがした中でもできることをやった成果。しっかりとしたものを作らないと、やっぱりここでは勝てない」と現実を受け止めた。

 ▼2019年4月 小平智、今平周吾、アマチュアの金谷拓実と日本勢4人で出場。前週、風邪をひいて寝込んだ影響で、第1Rはショットが不調で、75で首位と9打差63位と出遅れ。ショットが上向いた第2Rは、70で46位へ浮上。1983~86年の中嶋常幸の記録を1年更新する、日本人歴代最長となる5年連続の予選突破を果たした。第3Rは8バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの「68」で25位へ浮上。最終Rは72と伸ばせず、日本勢最高の32位で終えた。大会を通じて生命線のショットが不安定で「残念ですね。1月から感覚的なズレはなかったのに、ここにきてズレてしまったのが一番悔しい」と唇をかんだ。

 ▼2020年11月 新型コロナウイルスの影響で、大会初の秋&無観客での開催。日本の賞金王・今平周吾と2人で出場。第1Rは5バーディー、1ボギーの「68」。自身予選R初の60台で、首位と3打差10位と大会自己最高発進を決めた。第2Rも4バーディー、ボギーなしの「68」をマーク。1991年大会第3R&最終Rの中嶋常幸に続く日本人2人目となる2日連続60台で、1打差6位で決勝Rへ進出した。第3Rは4バーディー、4ボギーの72で8打差の10位へ後退。最終Rも72と伸ばせず、通算8アンダーの13位で終えた。初めて前週大会に出場して連戦で臨むなど、調整を例年と変えて予選Rでは優勝争いに加わった。「うまくいったところもあり、悪かったところもある。結果としてすごく悔しいですけど、いい一週間だったなと思います」と総括した。

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