米男子ゴルフのメジャー21年初戦、マスターズは8日(日本時間同日夜)から4日間、米ジョージア州オーガスタナショナルGCで開かれる。米ツアー日本人歴代最多5勝の松山英樹(29)=LEXUS=は6日、9ホールの練習ラウンド(R)などで調整。8年連続10回目の出場となり、日本勢では青木功、尾崎将司、中嶋常幸の“AON”以来4人目の2ケタ出場で歴代最年少。節目の大会で日本男子悲願のメジャー制覇に挑む。
世界一美しいコースで、松山が日本ゴルフ界の歴史をまた一つ塗り替えた。世界最高峰の米ツアーに主戦場を置いて8年目、20代でマスターズ2ケタ出場は日本勢で初。この日は例年同様、難易度の高いグリーン周りを入念に確認しながら、豊かな緑と鮮やかな花に彩られたオーガスタを回った。「いいことも悪いこともこのコースではいっぱい経験してきた。本当に今年はいいプレーができるように頑張りたい」。日本のエースは語気を強めた。
子供の頃から憧れ「一番勝ちたいメジャー」と公言する夢舞台だ。宮城県の東北福祉大2年生だった2011年4月、東日本大震災直後に初出場し、27位で日本人初のローアマチュアに輝いた。プロ転向後も15年5位、16年7位など優勝争いも演じてきた。今大会は大震災から10年も重なり「もう10年たつんだなと思うし、だからといって何ができるか分からないけど、プロゴルファーなんで結果を出すしかない」。16年以来4度目の日本勢唯一の出場の責任感で燃えている。
21年は調子が上がらず、10戦で最高成績は2月の世界選手権シリーズ、ワークデー選手権の15位だ。前週は30位で「期待はゼロ」とも語った。しかし、6日の練習Rではティーショットが次々とフェアウェーを捉えて復調。米ツアーで最も出場回数の多い大会で、相性の良いコースでもあり「いい状態になってきていると思うので、今週は楽しみ」と前向きな言葉も口にした。
パー3の16番では、水面をボールが跳ねる恒例の「水切りショット」を披露。人数限定を設け、2年ぶりに戻ってきた観客から喝采を浴びた。昨年はコロナ禍で秋開催となり軟らかかったグリーンも、よく知る4月の硬さ、速さに戻る。「マネジメントと忍耐力がすごく大事になる」と松山。AONの後継者は我慢強く、冷静に日本男子の悲願を現実にする。