星野陸也がツアー通算4勝目「実験が楽しい」スイング改造が奏功


優勝カップを手に笑顔を見せる星野陸也 (カメラ・馬場 秀則)

優勝カップを手に笑顔を見せる星野陸也 (カメラ・馬場 秀則)

◆男子プロゴルフツアー 関西オープン 最終日(25日、兵庫・有馬ロイヤルGCロイヤルC=7103ヤード、パー71=一般非公開)

 首位から出た星野陸也(24)=フリー=が3バーディー、1ボギーの69で回り、通算14アンダーでツアー通算4勝目を飾った。前回(2019年)大会でプレーオフで惜敗した雪辱を果たし、昨年9月のフジサンケイクラシックに続く今季2勝目。賞金ランクは金谷拓実に続く2位に浮上し、「2勝、3勝して賞金王になりたい」と優勝インタビューで誓った。

 星野の強い思いが表れた。チャン・キム(31)=米国=と通算14アンダー首位に並んで迎えた16番パー4。グリーン手前からのアプローチで「ダフりたくなくて」と強めに打つと、ピンを8メートルオーバー。「何やってんだ…」と痛恨のミス。いつもならズルズル引きずったが「弱気にならない」と切り替え、パーパットをねじ込んだ。C・キムは2メートル半のパットを外し、今大会初の単独首位に。前半からつかみきれなかった流れを一気に引き寄せた。

 再び首位に並んだ18番ではC・キムが第1打を右に曲げ、ロストボールとなり、まさかのダブルボギーでスコアを落とした。それを見た星野は、冷静にパーとして勝負を決めた。「(2位だった)2年前の負けがあったので、気持ちを強く持てた。リベンジとして、この大会で優勝できて本当にうれしい」と喜びを語った。

 今季2勝目をマークと強さの背景には「実験が楽しい」とスイングへの探究心があった。昨年はコロナ禍で試合数が減り、その分、オフ期間が増えた。モチベーションの維持に苦しむ選手もいたが、星野は違った。「ゴルフのことばかり考えていた。試合が続くと、できないことも試せるし、試合がなくても充実していた」とスイング改造に着手した。

 さまざまなスイングを試す中で、今オフは「抵抗のないスイング」を試行錯誤。クラブの軌道に反しないスムーズなスイングで、いわば「楽に振れる」という。専用の機器で計測するなどしてスイング時の体重配分も工夫した。この新スイングをものにし、これまでは4日間の最終日に疲労から「腰が張っていた」というが、アップダウンが激しいコースで4日間戦い抜いたものの「今日は全然張っていない」とベストな状態で最終日まで戦えたことをアピールした。

 将来的には「米ツアー参戦」をこれまでにも掲げてきたが、まずは国内での実績を最優先に考える。「去年、(米ツアー)ZOZO(チャンピオンシップ・72位)に行って、日本でしっかり勝ってからでないと、向こうで通用しないと感じた」と世界トップとの差を痛感。その上で「次は(国内)メジャーを取ってシードも欲しいし、賞金王になって、世界ランク50位以内に入って。(米参戦は)すぐじゃなくてもいい。30歳になってからでもいいと思っている」と星野。まずは国内で世界最高峰のツアー挑戦への土台をしっかり固めていく。

最新のカテゴリー記事