◆男子プロゴルフツアー メジャー第1戦 日本ツアー選手権森ビル杯 最終日(6日、茨城・宍戸ヒルズCC西C=7387ヤード、パー71)
プロ9年目の木下稜介(29)=ハートランド=が、1973年のツアー制施行後28人目のメジャーでの初優勝を飾った。4打差の単独首位で出て4バーディー、1ボギーの68で通算14アンダー。ツアー屈指の難コースで唯一、4日間連続60台を並べ、この大会では直近10大会で9人目の初優勝者となった。22年からの5年シードを獲得。同期の松山英樹、石川遼を追いかけ、初の賞金王と海外での活躍を誓った。
積年の思いがあふれ出た。最終18番。木下稜は50センチのウィニングパットを沈め、両手を天高く突き上げた。ツアー屈指の難コースで驚異的なパーオン率80・56%を誇り、2日目以降、一人旅で悲願の初V。涙をこらえき れず両手で顔を覆った。昨年11月の三井住友VISA太平洋マスターズでは18番まで首位を走りながら1差2位と惜敗。「この優勝がすごく遠くて。本当に長くて、苦しかった」。表彰式では笑顔で“グリーンジャケット”に袖を通した。
序盤で勝負を決めた。1番の第1打を右林に曲げた。第2打はアイアンで低い球で木の間を抜きグリーン手前へ。40センチのパットを決めて執念のパーセーブ。続く2番で2メートルのバーディーパットを沈め、逃げ切った。「1番が一番大きかった。マスターズの松山と同じ最終日4打差で絶対に逃げずにプレーしようと思った」。高校時代から親交のある松山の雄姿を思い出し、4度目の最終日最終組を戦った。
賞金ランクは首位に約885万円差の2位に浮上。「あと2勝して賞金王になる」と松山、石川に続く国内メジャー制覇の次は2人と同じ賞金王を宣言。7月に初海外メジャーの全英オープンも控え「積極的に海外に出て行って活躍したい」。成長著しい29歳が世界へ羽ばたく。(榎本 友一)
◆木下 稜介(きのした・りょうすけ)1991年7月16日、奈良・北葛城郡生まれ。29歳。10歳からゴルフを始め、香川西高時代の09年全国高校選手権2位。大阪学院大4年時に朝日杯日本学生優勝。14年にプロデビューし、ダンロップ・スリクソン福島オープンで自己最高の2位。18年に54位で初の賞金シード入りし、19年は賞金ランク34位。今季過去14戦で6度のトップ10入り。174センチ、78キロ。家族は両親と弟。
◆木下の優勝用具 ▽1W=ツアーB XD―3プロト(ロフト角9・5度、45・25インチ、硬さX)▽3W=ナイキ・ヴェイパースピード▽5W=ツアーB XD―F▽3UT=ツアーB X―HI▽4~9I、PW=ツアーB X―CB▽ウェッジ(52、58度)=タイトリスト・ボーケイSM8▽パター=オデッセイ・トライホット ♯3iXプロト▽ボール=ツアーB X(3W、ウェッジ、パター以外はブリヂストンスポーツ製)