![1年8か月ぶりの優勝を飾った鈴木愛は曇天の中で晴れやかな笑顔を見せた](https://golf.hochi.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/20210704-OHT1I51274-L.jpg)
1年8か月ぶりの優勝を飾った鈴木愛は曇天の中で晴れやかな笑顔を見せた
◆女子プロゴルフツアー 資生堂レディス 最終日(4日、神奈川・戸塚CC=6570ヤード、パー72)
第1ラウンド(R)の残りと決勝Rが行われ、2位から出た鈴木愛(27)=セールスフォース=が1イーグル、3バーディー、1ボギーの68で通算10アンダー。逆転で19年11月の伊藤園レディス以来の通算17勝目、今季初優勝に「やっと泥沼から抜け出せた」と涙した。大会は悪天候により2日間中止となった影響で、36ホールの短縮競技で賞金加算は50%。決勝Rは人数を絞るセカンドカットが採用され、2アンダー49位までの67人が争った。
18番で1メートル強のパーパットを決め、先に上がっていた鈴木は優勝が決まると涙をこらえきれなかった。「本当に長かった。ようやく勝ち取った1勝」。年間7勝を挙げた19年11月以来、595日ぶりの優勝は格別だった。
単独首位で折り返したが、14番ボギーで4人が並ぶ大混戦に。西郷を1打追った16番パー5、残り97ヤードからウェッジで放った3打目がカップに吸い込まれた。「自分でもびっくり」のスーパーイーグルで勝負を決めた。
昨年6月の再開初戦での2位を最後に、優勝争いからも遠ざかった。ここ3戦は得意だった大会で、予選落ち2度、棄権と失意を味わった。長い間勝てないのは初の経験。「何をやってもうまくいかず、ゴルフのことを考えるのがつらかった。トップ選手と比べて、こんなに落ちこぼれたと感じるのが怖くて、自分のプレーから目をそらしていた。家族や周りに申し訳なかった」。涙ながらに苦悩を振り返った。
1年前に東京五輪出場圏内の15位だった世界ランクは圏外の50位に後退し、切符を逃した。「調子が悪かったせいで、五輪のことは頭になかった」。懸命に復調を模索しながら、試合中の練習はやめなかった。前日(3日)も日没間際にプレーを終えると約15分間、今週初コンビでプロゴルファーを目指す飛田愛理キャディー(26)にパットをみてもらった。「シンプルにできたのはエリのおかげ」と中学からの友人に感謝した。
「やっと泥沼から抜け出せた。この1勝で新しい道が開けた」。史上初めて4日間大会が36ホールの短期決戦となった今回。17、19年賞金女王が何よりも大きな自信を手に入れた。(岩原 正幸)
◆鈴木の優勝用具 ▽1W=G425 LST(ロフト10・5度、45・5インチ、硬さS)▽3、5W=G425MAX▽4、5UT(22、26度)=G425▽6~9I、PW=i210▽ウェッジ(50、54、58度)=グライド▽パター=アンサー2▽ボール=タイトリスト・プロV1X(ボール以外はピンゴルフ社製)