勝みなみが西郷真央との“幕末対決”制しメジャー初V! 黄金世代4人目「本当にうれしい」


通算14アンダーでメジャー初優勝を果たした勝みなみは、あこがれのトロフィーに顔を近付け笑顔を見せた

通算14アンダーでメジャー初優勝を果たした勝みなみは、あこがれのトロフィーに顔を近付け笑顔を見せた

◆女子プロゴルフツアー ▽2021年メジャー第3戦 日本女子オープン 最終日(4日、栃木・烏山城CC=6550ヤード、パー71)

 勝みなみ(23)=明治安田生命=が6バーディー、1ボギーの66で回り、通算14アンダーで2位以下に6打差をつけて、国内4大大会初勝利を挙げた。メジャーの難しい設定の中で唯一、4日間60台で回る圧勝劇で、ツアーでは今季2勝目で通算6勝。賞金3000万円と3年シードを手にした。1998年度生まれの黄金世代の先駆者が畑岡奈紗、渋野日向子、原英莉花に次ぐ4人目のメジャー制覇を果たした。

 後続に影をも踏ませぬ圧勝劇だ。4日間ただ一人60台を並べる完勝を決め、悲願の優勝カップにキスした勝は「女子OPはアマチュアの時から夢の舞台。いつか優勝したいと思っていたので本当にうれしい」と瞳を輝かせた。

 台風の影響で、大会24年ぶり2度目の月曜日決戦。迎えた西郷との“幕末対決”で、その時、歴史は動いた。1、2番のピンチをパーで耐えると、3、5番は互いにバーディーと譲らない。ここから一気にチャージをかけた。7番で伸ばし、10番は第2打をピンまでわずか20センチにつけて観客をどよめかせた。13番では6メートル、14番では3メートルを沈めて連続バーディー。最後はボギーだったものの、西郷ら2位以下に6打差もつけてフィニッシュした。17番では「優勝おめでとう」という観客の声援が聞こえ、「いろんなことを思い出して泣きそうになった」と言った。

 14年4月に15歳でツアー初優勝した。渋野が「黄金世代の道を切り開いた第一人者」と語る存在だ。幕末の志士のように常に先頭を走ってきたが、メジャーにだけは縁がなかった。今会場で行われた16年大会は同学年の畑岡奈紗が世代でいち早くメジャー優勝。自身は12オーバー93位で予選落ちし「アマチュアの時は気持ちが前に出過ぎていた」。同じコースでリベンジし「自分の気持ちも攻略できた」とうなずいた。

 昨年から週3で行うトレーニング効果で、今季の平均飛距離254・71ヤード(ツアー2位)と、飛ばして短いクラブで寄せるスタイルが実を結んだ。最近はバランスを重視し「いい感じで体が動く」とショット、小技の精度がアップ。今季2勝目で初のシーズン1億円の大台を突破した。

 今回の優勝で3年シードを得た。来年末に予選会を受験し、23年からの米ツアー進出を目標とする。「今は行く方向で考えている」。黄金世代の筆頭は、メジャー覇者の称号とともに世界に羽ばたく。(岩原 正幸)

 ◆みなみに聞く

 ―プレー中の心境は。

 「1ホール終わるごとに優勝に近づくのが、うれしかった。とにかく楽しかったし、成長した自分が見られた」

 ―18番ボギーで優勝が決まった。

 「できればパーで上がりたかったので悔しさもあるが、心の中はうれしい」

 ―6月の全米女子オープンで渋野から「早く米国に行こうよ」という言葉もあったそうだが。

 「(近い将来)一緒に戦おうという感じで話しました」

 ―今後の目標。

 「これまで最高が年間2勝。まずは残り試合で1勝して更新したい」

 ―大ファンの阪神は、ヤクルトと優勝争い中だが。

 「チャンスをつかんでほしい」

 ◆黄金世代のメジャー初制覇とその後の躍進

 ▼畑岡奈紗 16年10月の日本女子オープンで女子初のアマチュアでのメジャー優勝。日本女子最年少で米ツアー通算5勝を達成。日本ツアー通算5勝。

 ▼渋野日向子 19年5月のワールドレディスサロンパスカップでツアー&メジャー初V。同年8月のAIG全英女子オープンで、日本女子42年ぶり2人目となる海外メジャー制覇。

 ▼原英莉花 20年10月の日本女子オープンで悲願の日本タイトルを獲得。同11月のJLPGAツアー選手権リコー杯で国内メジャー2連勝。

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