池村寛世が通算17アンダーで涙の初優勝 結婚を前提に交際するキャディーの支えに感謝


2番ティーショットを放つ池村寛世

2番ティーショットを放つ池村寛世

◆男子プロゴルフツアー ▽ISPSハンダ・ガツーンと飛ばせ 最終日(31日、茨城・美浦GC=6988ヤード、パー71)

 最終ラウンドが行われ、5打差2位で出た池村寛世が7バーディー、1ボギーの65をマーク。通算17アンダー、大逆転でツアー初優勝を飾った。2打差の首位で、笑顔で18番グリーン脇に集まった観客の応援に応えながらホールアウト。その後クラブハウス前のモニターで最終組のプレーを見つめて優勝を確信。交際するキャディーの坂口琴音さんの左肩に顔を埋めて大粒の涙を流した。

 優勝会見で「自分が勝てる日が来るなんて想像できなかった。優勝したら泣くんだろうなと思っていたけど意外と(ホールアウト時は)あっけらかんとしていた。でも(優勝を確信し)終わったんだなと思ったら涙があふれてきました」と心境を語った。

 「サウナ仲間」という同学年の植竹勇太を5打差で追って最終日は最終組の1つ前の組でスタート。前半を1バーディー、1ボギーのパープレーで首位に6打差に広げられてサンデー・バックナインに向かった。11番パー4。フェアウェーから残り154ヤードの第2打を8アイアンでピンそば1メートルにつけてバーディー。そこから圧巻の4連続で伸ばした。16番で4メートルのバーディーパットを沈めると、ついに首位を捉えた。17番も連続で重ね、植竹が2連続ボギーで落としたため、2打差で最終ホールに入った。18番は1メートルのパーパットを沈めると力強く右拳を握ってホールアウトした。

 2013年1月に当時17歳でプロ転向。自慢の飛距離を武器に「お前ならすぐに勝てる」と期待されたが、優勝は遠かった。同学年の比嘉一貴が19年8月に初優勝を挙げると、今年8月に早くも2勝目。「置いていかれているな」。同じ鹿児島出身の先輩である稲森佑貴、出水田(いずみだ)大二郎、香妻陣一朗も優勝をつかみ「自分だけが勝っていないのが悔しかった」と精神的に追い込まれた時期もあった。それだけにこの日の勝利後は香妻、出水田らに祝福され、喜びはひとしおだった。

 19年のツアー外の試合で今週キャディーを務めた坂口さんに初めてバッグを担いでもらった。その後、同年7月の北陸オープンではタッグで優勝。ゴルフ経験者の坂口さんは普段から練習や転戦で食事面でもサポートしてくれる。今年のツアーでは8月の長嶋茂雄招待セガサミーカップ(59位)、Sansan・KBCオーガスタ(22位)と2戦続けてキャディーとしても支えてくれた。「夕方の遅くまで練習に付き合ってくれたり、ずっとそばにいてくれて、彼女の支えが大きかった。キャディーをしてくれている時に勝てて良かった」と感謝の思いを語った。

 プロ9年目で待望の初勝利をマークし、今季最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ(12月2~5日・東京よみうりCC=報知新聞社主催)の出場権も2年連続で獲得。「去年は(コロナ禍で同大会までに)5試合しかなかった。今年は自力で戦って、優勝してJTにいけるのはすごく楽しみ」と胸を躍らせた。ようやくつかんだ1勝。それだけに「1勝目がラッキーで終わらずに小学生の頃から知っている比嘉プロに追いついていけるように。まだ試合も続くので天狗(てんぐ)にならずにいきたいです」と2勝目に目を向けた。

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