宮里優作、長尺パターで猛追2差4位浮上…コロナ感染以降不振で再投入 人生初「グリーン上でストレスない」


11番、長尺のパターでパットを放つ宮里優作 (カメラ・馬場 秀則)

11番、長尺のパターでパットを放つ宮里優作 (カメラ・馬場 秀則)

◆男子プロゴルフツアー ダンロップフェニックス 第3日(20日、宮崎・フェニックスCC=7042ヤード、パー71)

 2017年賞金王の宮里優作(41)=フリー=が8バーディー、ボギーなしのこの日のベストスコア63で、31位から2打差4位へと急浮上した。通算10アンダーで最終日逆転での約4年ぶりの優勝を射程にとらえた。15年以来の大会2勝目となれば尾崎将司(94~96年)以来、日本人2人目の快挙。66で回った賞金ランク2位の木下稜介(30)=ハートランド=が、12アンダーの単独首位で今季&通算3勝目に王手をかけた。

 まるで“魔法の杖”のようだった。宮里の長尺パターから放たれた球は次々とカップへ吸い込まれた。計25パット。4番から1メートル、2・5メートル、6メートル、7メートルを沈めて4連続バーディー。9番で5メートル、13番と14番は2メートルを決めてリーダーボードを一気に駆け上がった。ツアー屈指のショットメーカーは「本当にショットとパットがかみ合った。ゴルフ人生始まって以来、グリーン上でストレスがないですね」と頬を緩めた。

 9月に新型コロナに感染した。1試合棄権して3試合を欠場。約1か月後にツアー復帰もコロナの影響で「感覚が全く出なくなってしまって。とにかく狙ったところに打てない」とパットの不振に陥った。復帰後7戦でトップ10入りはなく、賞金ランクも57位と低迷。変化を求めて「(5年以上前に)3試合使った」という長尺パターを今大会から再投入した。

 左手を強く握る以外は握り方は同じ。長尺を長年使う市原弘大(39)らから「肩を動かすこと」と助言を授かると、効果てきめん。「転がりが良くて、シンプルに狙ったところに打てている」と大会自己最少スコア63をたたき出した。

 17年に4勝を挙げて日本の賞金王となった。18年から2年間、欧州ツアーに参戦。同ツアーをともに転戦した大学の先輩で43歳の谷原秀人が前週、約5年ぶりの復活V。「あのバイタリティーや情熱はすごい」と刺激を受けた。「この長尺で夢が広がれば良い」と宮里。勝って18年以来となる最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ(12月2日開幕・東京よみうりCC=報知新聞社主催)切符もつかむ。(榎本 友一)

 ◆長尺パター 35インチ(約89センチ)前後の通常のパターに対し、ドライバーとほぼ同じ45インチ(約1メートル14センチ)前後の長さのパター。振り子運動のストロークを理想とするため、ボールに近づき、ヘッドのヒールが浮くぐらい垂直近くに構え、距離感は右手だけで出すことが多い。通常のパターで不調に陥った選手や腰痛に苦しむ選手が使う例が多い。13年のマスターズを制したアダム・スコット(豪州)、日本ツアー通算48勝の中嶋常幸らが長尺パターの使い手として有名。

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