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6番、惜しくもイーグルとならずがっくりリアクションする宮里優作
◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第2日(3日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)
宮里優作(41)=フリー=はベストスコア65で回り、9アンダーの首位に浮上し、4年ぶりの大会3勝目へと前進した。
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優作は、4メートルを入れる1番のバーディーを含め5番まですべて1パットだった。6番パー5は6メートルに2オン、イーグル逃しのバーディーをきっかけにそこから3連続バーディー。インでは不思議な巡り合わせがあった。11、14番と5メートルのスライスラインのバーディー。チャンスもピンチも16番で6メートルのフックラインがあっただけ、チャンスはすべてスライスラインだった。ゴルフ特有の流れ、という目に見えないラックが味方した。
「長尺のおかげで好調なパットでリズムをつくり、吹いたりやんだり神経を使う風やストレスのかかるショートパットを克服しようという作戦だったが、うまくできた」という。この日、65のベストスコアでトップ。通算9アンダーは昨年の優勝スコア8アンダーを2日間で更新した。
左手を顎の下にセットすると長尺スタイル。腰から“こんにちは”してスタンス。右手はピストルの引き金のようにして添える。「大事なのは長尺パターのグリップエンドを左親指で押さえ左ひじを張った構え。左ひじを高く、パットラインと平行にカップに向けるのが宮里流」という。「打とうとすると背中が丸くなるが、ひじを張るとノーヘッドアップでスムーズに球を送り出せる」と語る。
優作が東北福祉大1年の頃。23年前の話だ。ショートパットが打てなくなったから、「親父来てくれ」と。泣きつかれた優さん(75)が仙台に飛んでいくとイップス。以来“この病”とは長い付き合いになった。今回、3週前に長尺にカムバックしたのも同じ理由だ。だが、驚くほどの効果が出た。日本シリーズに出場でき、いま優勝争いのまっただ中。応援に駆けつけたコーチの父が「パットがいいとショットもうまくいく。球がおっとりしている。気持ち良くやっているのが分かる」と満点を出した。
01年日本アマ、日本学生優勝の天才・優作は、その年の日本オープン7位でローアマ。ほかに中日クラウンズ21位、JCB仙台クラシック9位、さらに太平洋マスターズで2位、ブリヂストン4位とゴルフ界を震撼(しんかん)させた。アマだから賞金はないが、計算するとざっと2648万円。その年の賞金ランクは40位相当と、ゴルフ界は驚がくしたものだ。
プロとなって日本シリーズ2勝、賞金王も経験した優作はまたも栄光への道を歩む。今大会の長尺Vなら07年のブレンダン・ジョーンズ(豪州)以来の快挙。優作、いま41歳。ベテランとなって運命が変わろうとしている。勝負の時、来る。(ゴルフジャーナリスト)