池村寛世「直ドラ」5発飛ばした!婚約者キャディーと1差2位浮上 実家は芋焼酎「魔王」の原材料育てる芋農家


16番、コースを見る池村寛世(右)とキャディを務める婚約者の坂口琴音さん

16番、コースを見る池村寛世(右)とキャディを務める婚約者の坂口琴音さん

◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第3日(4日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)

 5差5位から出た池村寛世(26)=ディライトワークス=が1イーグル、4バーディー、ボギーなしで1打差2位に浮上した。300ヤード超えの飛距離を武器に大会自己最少スコアの64をマーク。ツアー初優勝を挙げた10月以来となる婚約者の坂口琴音キャディー(25)とのタッグで、ツアー2勝目とメジャー初制覇を目指す。

 王者の中の王者を決める大会で、26歳がアクセルをベタ踏みした。ドライバーの平均飛距離300ヤード超えの池村は、535ヤードの17番で第1打をティーアップしないで打つ「直ドラ」でフルスイング。「振り切れるので曲がらない」と339ヤード先のフェアウェーに置いてアドバンテージを稼ぎ、残り196ヤードの第2打はピンの右3メートルへ。冷静にイーグルパットを沈め、一時は首位に並んだ。

 急傾斜のグリーンが待ち構える“魔の18番”でも、ラフからのアプローチをふわりと浮かせて寄せ、難なくパーセーブ。首位と1打差2位で終え「これ以上ない、いい上がり方だったと思います」と大きくうなずいた。

 前半はティーショットが左右に曲がり「チャンスも少なかった」。救世主になったのが、安定を求めるための「直ドラ」だった。小学生の頃から練習で打っていた「直ドラ」が今オフからハマり、ショットが復調。今季から試合でも多用し、今では池村の代名詞だ。この日も「左に曲げたくないところをメインに」と4、11、12、16、17番で連発。「自分の思ったところに打てていた」と難コース攻略で大会自己最少の64をマークした。

 166センチから放たれるビッグドライブの根源は、生まれ育った鹿児島にある。実家は幻の芋焼酎「魔王」の原材料を育てる芋農家。小学3年から20代前半まではオフの間に農作業を手伝って足腰を鍛え、飛距離アップに生かした。

 10月の「ISPSハンダ・ガツーンと飛ばせ」でツアー初優勝。ゴルフ経験者で婚約者の坂口琴音さんがバッグを担ぐのは同大会以来。19年に優勝した地区大会「北陸オープン」でキャディー起用して出会った“勝利の女神”は、弱気になりそうな場面で「彼女は『いけるでしょ』って背中を押してくれる。『別にボギー打っても死なないから』って。確かにな、と(笑い)」。メジャーVで3年シードを獲得し、今オフにも結婚予定で英語も堪能な坂口さんと、いずれは海外に進出する夢も思い描く。

 自身4年ぶり3度目の最終日最終組には、首位で出場13度目の谷原秀人、13、17年大会覇者で3位の宮里優作が入った。経験豊富なベテラン勢を前に「追いかける立場といっても、1打しかないのでチャンスはある。トップの人をびびらせたい」。“魔王”池村が、狙った獲物に襲いかかる。(菅原 美沙)

 ◆魔王 鹿児島・白玉醸造合名会社が蔵元。芋焼酎独特の臭みが少ない穏やかな風味で人気があり、希少価値が高い。製造工程で熟成を要する酒類は、熟成中の水分・アルコール分の蒸発によって製造量が目減りすることを「天使の分け前」と呼ぶ。「魔王」はその天使を誘惑し、魔界へ最高の酒を調達する悪魔たちによってもたらされた特別のお酒という意味がある。価格は一升瓶(1800ミリリットル)で3240円程度。オークションサイトでは1本1万円超の値段で取引されることもある。

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