優勝した谷原秀人は、ＪＴカップを手に笑顔でサムアップポーズ（カメラ・竜田 卓）
◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー２０２０―２１年最終戦 日本シリーズＪＴカップ 最終日（５日、東京・稲城市 東京よみうりＣＣ＝７０２３ヤード、パー７０）
単独首位で出た４３歳の谷原秀人（国際スポーツ振興協会）が通算１２アンダーで逃げ切って、歴代４位の大会年長優勝で２０１６年日本プロ選手権に続くメジャー２勝目を達成した。序盤は我慢の展開も終盤に得意のパットがさえ、３バーディー、２ボギーの６９で、通算１６勝目。３年シードを獲得した。６８の宮里優作（４１）＝フリー＝が１０アンダー２位。２０―２１年シーズンが終了し、チャン・キム（３１）＝米国＝が初の賞金王に輝いた。
谷原は６０センチのウィニングパットを沈めると、力強く拳を握った。昨年最終日最終ホールでの３パットのボギーが響き、１打差２位で悔しさを味わった舞台で雪辱。「１８番で今日のピン位置は手前からが一番パーが取りやすい。（第１打で）グリーンに乗せないと決めていた」。狙い通り手前に落とし、アプローチでピンに寄せる“寄せワン”で混戦の最終組を制した。
１番、今大会初の３パットのボギーで、池村寛世に首位を明け渡した。１２番までバーディーなしで首をかしげる場面も多く「本当に苦しかった。チャンスはないのかな」。１３番で８メートルをねじ込む初バーディー。谷口拓也キャディー（４２）が「あの人はスッポン。食らいついたら離さない」と舌を巻く持ち前の粘り腰を発揮した。首位タイで迎えた１６番、再び８メートルを入れ、池村を突き放しガッツポーズを繰り出した。
今大会１３度目の出場で、初めて深紅のジャケットに袖を通し、「ずっと勝てずにしんどい思いもあった。まさかメジャーで勝てるとは…」と感慨深げに振り返った。日本プロと日本シリーズの２冠は１３人目。この日は３１パットも、勝負所でこの秋から５年ぶりに戻したエースパターが奏功。最終日のパーオン率は８３・３３％（１位）と緊迫感の中でもショットがブレなかった。
２年ぶりに有観客となった舞台で「ギャラリーの皆さんの声援がなかったらドキドキ感もなかった。非常にうれしい」と声を張り上げた。４３歳での歴代４位となる年長優勝に「（１１月に）４２でも（優勝して）、４３でも勝てて、最高のクリスマスと正月が来た」と喜んだ。
近年は欧州ツアーを主戦場とした野心家が３年シードを得た。「日本でやる方が楽だけど、そういう人生をしたくない。少しでも上を目指す思いだけ」。来年は日欧共催試合も組まれ、優勝して欧州へ再挑戦するプランも描く。
賞金ランク４位で終え、１６年以来、自身４シーズン目となる１億円の大台を突破した。「まだまだ若い選手に立ち向かえる。これからもやっていけるぞと自信が出てきた。シニア（５０歳）になっても、それくらいまで若手と戦って刺激をもらいたい」。シーズン最終戦を最高の形で締めくくったベテランの夢はまだまだ終わらない。（岩原 正幸）