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笑顔で練習ラウンドする稲見萌寧(カメラ・今西 淳)
今季はこれまでの賞金ランクによる「賞金女王争い」ではなく、積算ポイントの順位で競う「年間女王争い」に主眼が置かれる。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は昨年12月、2023年以降の出場資格に関し、賞金ランクによるシード権付与を廃止、シード権はメルセデス・ランク(以下MR、50位まで)に一本化され、同1位に4年シードを付与すると発表した。
昨季は稲見萌寧(シーズン9勝)が賞金女王に輝いたが、MRで見ると古江彩佳(同6勝)が最終戦で稲見を3・56ポイントかわし、計3845・16ポイントで1位となった。古江が海外メジャーで獲得した354ポイントが、稲見の9・8ポイントを大きく上回った。MRは、国内の3日間大会(優勝は200ポイント)に対し、海外メジャーでは4倍のポイントが得られるため、5大会あるメジャーに積極的にスポット参戦する選手にもチャンスがある。
従来の賞金ランクでは、国内メジャー大会を上回る賞金額で開催される一部の大会で高額賞金を稼いだ選手が一気にジャンプアップする例も見られた。MRへの一本化は、ポイントランクに軸を置く米男女ツアーに倣うものでもあり、これまでの“不公平感”を解消する意味合いもある。
昨季賞金女王の稲見は指標がポイントに移行することに「毎週上位にいろ、ということ。自分の順位を気にして頑張るだけ」と、これまで同様に目の前の試合に集中すると強調した。今季の初シード選手は西郷真央、西村優菜、山下美夢有、吉田優利ら13人。年間女王争いは稲見を中心に、未勝利ながら安定感のある西郷、昨季5勝の小祝さくらが有力候補に挙がり、毎週目が離せない。
また、7月に行われる第1回リランキング(出場優先順位組み直し)もMRをもとに実施される。QTランク上位以外からの“下克上”にも注目したい。(ゴルフ担当キャップ・岩原 正幸)
◆メルセデス・ランクの内訳 優勝で得られるのは国内3日間大会で200ポイント、同4日間大会で300ポイント、4大会ある国内メジャーで400ポイント、海外メジャーは800ポイントとなっている。各大会の順位に応じてポイントが加算され、2位なら優勝の60%、3位は優勝の45%となる。