優勝候補筆頭のラームがマスターズでメジャー2勝目を狙う 「勝つ可能性のある位置で日曜日を迎えたい


 昨年の全米オープン王者のジョン・ラーム(27)=スペイン=が、4月7日開幕の男子プロゴルフの2022年メジャー初戦、マスターズ(米ジョージア州オーガスタナショナルGC)で、ブックメーカーの優勝候補筆頭に推されている。

 いかつい世界ナンバー1ショットメーカーが、グリーンジャケットにその手を掛けようとしている。愛称は「ランボー」。顔を真っ赤にして、感情をむき出しにする雄姿からつけられた。ラームは抜群の飛距離とパワフルなショットで、爆発的なスコアをたたき出す。昨年6月の全米オープンで悲願のメジャー初制覇を成し遂げた。

 昨年7月から前週まで、世界ランク1位に君臨し続けてきた。「子供の頃から、世界ナンバー1になることを目指してきた。その自信を持って、戦い続けることが今は大事なんだ」。22年に入ってから米ツアーでは8戦未勝利で前週には今季3勝のスコッティー・シェフラー(25)=米国=に世界ランク1位の座を明け渡した。とはいえ、今年1月のセントリーチャンピオンズで2位、ファーマーズインシュアランスオープンは3位。2月のフェニックスオープン10位と安定した成績は残している。平均飛距離はツアー7位の315・8ヤード。パーオン率は75・74%で堂々の1位と、豪打でギャラリーを魅了している。

 マスターズは6年連続6度目の出場となる。毎年同じコースで開催される唯一の男子の4大メジャー。開催コースのオーガスタナショナルGCとの相性はすこぶるいい。初出場した17年は27位。18年は4位、19年は9位、20年は7位、21年は5位。4年連続トップ10入りと持ち前の高弾道のショットで、オーガスタ特有の点で落とさないといけない、硬くて速いグリーンを攻略してきた。18年の第2ラウンド以降、15ラウンド連続でマスターズではオーバーパーが無い。必然的に欧米のブックメーカーでは、今大会の優勝候補筆頭に推す声が強い。「オーガスタに来ると、いつもいい雰囲気で回れるんだ。今年は勝つ可能性のある位置で、日曜日を迎えたいね」とゴルフの祭典の頂点をしっかりと見据えている。

 初の秋開催となった20年11月の練習日には、歴史的なミラクルショットで世界を驚かせた。恒例となっている16番パー3での水切りショット。ラームが池の前から放ったショットは、勢いよく水面を跳ねて、グリーン右奥からフックラインを描いて転がり、カップに吸い込まれた。コロナ対策のため無観客開催だったが、見守った関係者からは大歓声があがった。なんとこの日が26歳の誕生日でもあり、満面の笑みで太い両腕を青空に掲げて喜んだ。

 スペイン勢のマスターズ制覇となれば、2017年のセルヒオ・ガルシア以来。1980年と83年のセべ・バレステロスと94年、99年のホセマリア・オラサバルに続く4人目となる。17年には、大会史上最遅となる19度目の出場で優勝したガルシアがグリーンジャケットに袖を通す姿を目撃し「スペイン人がメジャーを制覇するたびに刺激を受ける」と羨望のまなざしを向けていた。アリゾナ州立大時代から、バレステロスにプロ転向を勧められた逸材だった。6度目の挑戦で、母国のレジェンドと肩を並べるマスターズ制覇&2つ目のメジャータイトルをつかみ取る。

 ◆ジョン・ラーム 1994年11月10日、スペイン・バリカ生まれ。27歳。米アリゾナ州立大に進み、2015年に世界アマランク1位。16年の全米オープンでローアマ(23位)を獲得してプロ転向。17年に米ツアー初優勝を飾るなど通算6勝。19年には欧州ツアーで3勝を挙げて年間王者となった。20年7月にスペイン人では故バレステロス以来の世界ランク1位に立った。188センチ、100キロ。ケリー夫人と1男。

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