堀琴音、2勝目…史上初姉妹そろって複数回優勝「追いかける気持ちで、気持ちだけ強く…と頑張りました」


堀琴音

堀琴音

◆日本女子プロゴルフツアー Tポイント×ENEOS 最終日(20日、鹿児島・高牧CC=6419ヤード、パー72)  

 1打差の単独首位で出た堀琴音(26)=ダイセル=が3バーディー、1ボギーの70をマーク。通算9アンダーで逃げ切り、昨年7月のニッポンハムレディス以来となるツアー通算2勝目を挙げた。姉・奈津佳(29)=サニクリーン=と並ぶツアー2勝目で、ツアー史上初の“複数回V姉妹”となった。今季目標に掲げる「複数回優勝」に向けて次週、姉が2013年に初Vを飾ったアクサレディス(25日開幕、宮崎・UMKCC)でツアー初の姉妹制覇に挑む。

 穏やかな春の日差しの下、堀琴の笑顔が咲き誇った。1打リードで迎えた最終18番。数十センチのパーパットを沈めると、グリーンを取り囲んだ観客に人気プロは笑顔を振りまいた。優勝会見の冒頭で「もう幸せいっぱいです。何か結婚会見みたいですね。すみません!」と、報道陣を笑わせた。

 自身初めて最終日を単独首位でスタート。最終組で大ギャラリーを引き連れ、「ハラハラ、ドキドキ。上を見て追いかける気持ちで、気持ちだけ強く…と頑張りました」と、重圧と向き合った。前半2つ伸ばしたが10番のボギーで、猛追してきた内田に一時は首位の座を譲った。

 それでも、運命のサンデーバックナインで精神的な強さを見せた。14番の電光掲示板で1打ビハインドを確認すると、大溝雅教キャディー(56)から「(最終組で)一番ホール数が残っているし、まだツキにも見放されていないよ」と励まされて、冷静さを保った。「取れるのはここしかない」と、16番で3メートルのバーディーパットを強気に打ち抜いて、単独首位に再浮上した。

 姉に追いつく2勝目に「やっと姉と並べたかなと思い、少しホッとした。1勝してから落ち着けるようになった」と、成長をかみしめた。14年秋からコンビを組む大溝キャディーと初めてつかんだ勝利でもあった。

 男女ツアー通算32勝の大溝氏は、20年夏に胃がんが見つかり北海道内の病院で手術を受けた。お見舞いに訪れた堀琴は「ここにいる人じゃない。早くコースに戻ってきてよ」と励ました。昨夏、コンビを再結成し、「元気になって戻ってきて、最後までポジティブな言葉をかけ続けてくれて今回優勝できた。本当に良かった」と、心から感謝した。

 最終日プレーオフを制しての逆転初Vに今回の逃げ切りで、「自信になった」と充実感を漂わせる。今季目標は「複数回優勝」。次週、13年の姉に続くツアー初の姉妹同一大会制覇に挑む。(榎本 友一)

 ◆女子ゴルフ界の姉妹V

 ▼国内女子 福嶋姉妹で姉・晃子(国内24勝、米2勝)と妹・浩子(国内1勝)。

 ▼米女子 〈1〉アニカ(メジャー10勝含む72勝)、シャーロッタ(1勝)のソレンスタム姉妹(スウェーデン)〈2〉姉のモリヤ(2勝)、アリヤ(メジャー2勝含む12勝)のジュタヌガーン姉妹(タイ)〈3〉姉のジェシカ(6勝)、妹のネリー(メジャー1勝含む7勝)のコルダ姉妹(米国)の3組が達成している。

 ◆堀 琴音(ほり・ことね)1996年3月3日、徳島市生まれ。26歳。7歳からゴルフを始め、兵庫・滝川二高1年で国体優勝。3年時に日本ジュニア選手権15~17歳の部優勝。2014年にプロ転向して下部ツアーの京都レディースで優勝。昨年7月のニッポンハムレディスでレギュラーツアー初優勝&史上2組目となる姉妹Vを達成。165センチ、56キロ。

最新のカテゴリー記事