蝉川泰果、ウッズから父命名のタイガがアマ6人目Vへ単独首位


10番、ティーショットを放つ蝉川泰果 (カメラ・馬場 秀則)

10番、ティーショットを放つ蝉川泰果 (カメラ・馬場 秀則)

◆男子プロゴルフツアー 関西オープン 第2日(15日、兵庫・よみうりCC=7180ヤード、パー71)

 アマチュアの蝉川泰果(たいが、21)=東北福祉大4年=が7アンダーの2位から出て6バーディー、2ボギーの67で回り、通算11アンダーでトップに立った。アマ選手による単独首位の予選突破は2020年10月の日本オープンの河本力以来。21年9月の中島啓太以来となるツアー史上6人目のアマVへと弾みをつけた。石川遼(30)=カシオ=は49位で今季初の予選通過。レギュラーツアーデビュー戦の中学2年生アマチュア、香川友(とも、13)=山東CC=は105位で突破できなかった。

 本家“タイガー”ばりの存在感だ。第1日に7アンダーで2位につけた21歳アマ・蝉川が、この日もスコアを4つ伸ばしてフィニッシュした。ツアー16戦目で自身4度目の予選突破を単独首位で達成。ラウンド中、リーダーボードの一番上にある自身の名前を確認し「初めてトップに立っている状況が続いていて。気持ちが高ぶらないようにと意識して、何も考えなかった」と初々しかった。

 強気な姿勢を貫いた。OB領域が広く、多くのプロがティーショットを刻む難コースで、ショートホール以外でドライバーを握らなかったのは、この2日間で6番の2度だけだ。クラブを2、3センチ短く持つなど精度を上げる技術も磨いてきたが、東北福祉大の1学年先輩、杉原大河(22)の助言が生きた。昨年大会で予選落ち後に相談し「自分には守りの部分があった。同じショットでも攻めていると思えるように」と改めた。ショットだけでなく、ブレない気持ちでスコアを刻んだ。

 ゴルフ好きの父・佳明さん(61)が名付けた名前の由来は、タイガー・ウッズ。前週のマスターズでの大けがからの復帰劇には「あれだけ頑張っているのを見ると、僕も頑張ろうと思えた」と力をもらった。小学5年時にテレビ番組の特集で「4大メジャー制覇」を公言した男は、松山英樹らを輩出する大学屈指の強豪で主将を務めるほどに成長。ツアーでもプロを押しのけて“トップ”に立った。

 あと2日、この座を守れば史上6人目のアマチュア優勝だ。快挙達成者のうち、2人は大学OBの松山と金谷拓実。その金谷の19年優勝を、当時大学1年の蝉川は別選手のキャディーとしてグリーンで見守っていた。「チラッとテレビに映った。丸坊主で」。今度は主役として、中継画面の“どアップ”で最終日の栄冠をつかむ。(宮崎 尚行)

 ◆蝉川 泰果(せみかわ・たいが)2001年1月11日、兵庫県出身。21歳。1歳からプラスチック製クラブでゴルフを始め、兵庫教大付中から興国高を経て東北福祉大に進学。高2の時に関西ジュニアゴルフ選手権、高3時に国体優勝。昨年は日本学生2位、日本アマ4位で22年度のナショナルチーム選出。ドライバーの平均飛距離は300ヤード超。174センチ、73キロ。

最新のカテゴリー記事