◆女子プロゴルフツアー KKT杯バンテリンレディス 第2日(16日、熊本・熊本空港CC=6499ヤード、パー72)
2打差の3位で出た植竹希望(23)=サーフビバレッジ=が3バーディー、ボギーなしの69をマークし、通算7アンダーで1打差の2位に浮上。1998年度生まれの“黄金世代”10人目となるタイトルを射程に入れた。2000年度生まれ“ミレニアム世代”西村優菜(21)=スターツ=が8アンダーでツアー通算5勝目に王手。植竹は黄金世代“キラー”の西村との優勝争いに挑む。
植竹が“一点集中”で攻めた。松の木がフェアウェー両サイドを覆う2番パー4。第1打をフェアウェーに運ぶと、85ヤードの第2打を58度ウェッジでピン左奥3メートル半につけてバーディー。5番は12メートルのバーディーパットをねじ込んだ。「このコースは得意ではないので難しい。神経をすり減らしながら、でした。前半はパターが入ってくれた」と安どの表情を浮かべた。
これまでの優勝争いの経験からターゲットを設定して挑む。今大会は昨年のVスコア「14アンダー」だけに集中。前半を首位で折り返したが、リーダーボードを一度も見ず、スタート前から着ける花粉を防ぐマスクと共に外敵を遮断した。首位の西村は、昨年9月の住友生命レディス東海クラッシク(2位)で惜敗した因縁の相手。同大会を含め、3度は“黄金世代”を逆転した天敵だが「誰とか関係ない」と平常心を貫く。
オフはショットの安定性を求めて5キロ増量した。うち3・5キロはウェートなどのトレーニングで意図的だったが、残りは「食べ過ぎた」と肩をすくめる。15歳まで水泳を習っており、特技を生かして、週2、3回、3キロずつ泳いで絞り、ベスト体重の61キロにした。「風が吹いても重い球が打てる」。昨季パーオン率5位の精度が高まった。最終日も「ショットは大丈夫」と自信を示す。
米男子のメジャー、マスターズを連日テレビ観戦。事故の重傷からツアー復帰したタイガー・ウッズには感激した。そんな植竹のルーチンは寝る前にウッズのスイング動画を見ること。「打球音を聞いているだけで楽しい」と“オタク”の類いだ。最終日前夜も動画を見て午後8時に就寝。「いいイメージ」を膨らませ、逆転での初Vにつなげる。(宮下 京香)
◆昨年9月の住友生命レディス東海クラシックVTR 初日は植竹が69をマークし、3差3位発進。西村は71で回り5差15位で滑り出した。“黄金世代”の大里桃子が66と伸ばし、単独首位。第2日は台風14号の影響で中止となり、36ホールの短縮競技に。最終日は西村がこの日ベスト&大会コース記録タイの63をマーク。通算10アンダーで逆転優勝。植竹は67と伸ばしたが、2打及ばず2位だった。
◆植竹 希望(うえたけ・のぞみ)1998年7月29日、東京・葛飾区生まれ。23歳。4歳でゴルフを始め、東京・日出高卒業後の2017年、プロテストに一発合格。20年ラシンク×リシュリュRKBレディースで下部ツアー初V。昨季賞金ランク33位で初シード。ツアーの最高成績は昨年9月の住友生命レディス東海クラシックなど2位。プロ野球・ヤクルトの大ファン。170センチ。