◆日本男子プロゴルフツアー ISPSハンダ欧州・日本トーナメント 第2日(22日、茨城・石岡GC=7071ヤード、パー71)
主催者推薦枠で出場の無名のレフティー、細野勇策(19)=フリー=が優勝戦線に急浮上した。90位で出て9バーディー、ボギーなし、この日ベストスコアの62。首位と2打差の通算10アンダーで9位へと躍進した。プロ転向後2戦目で優勝すれば、1999年の日本ゴルフツアー機構(JGTO)発足後では、松山英樹に並ぶ日本人最速優勝記録となる。2週連続優勝を目指す比嘉一貴(26)=フリー=ら6人が、12アンダーの首位に並ぶ大混戦となった。
無印のレフティーがリーダーズボードを一気に駆け上がった。細野は1番で3メートルを沈めてバーディー発進。2番も3打目を1メートルに寄せて連続バーディーで勢いに乗った。5メートル前後を冷静に沈め続け、計24パットでツアー自己最多9バーディーを量産。「全てパットのおかげ。今日になって急にイメージが出て入り出しました。全然ミスなく一日回れたかな」と、初々しい笑顔を見せた。
生まれつき心臓に持病があり生後2か月で手術。父、兄と同じく野球への道を志したが、断念して父・誠一さん(55)の教えで小学1年からゴルフを始めた。左利きで最初から左打ち。憧れのコリン・モリカワ(米国)ら米男子ツアー選手の動画を見て「エンジョイゴルファー」と、コーチの父と二人三脚で歩む。「左打ちのジュニア用のクラブがなかなかなくて、小学時代は女性用のクラブを使っていました」と笑う。
同学年の久常涼(19)は昨年、下部で3勝してレギュラーツアーへ昇格。さらに賞金ランク50位に入り、初の賞金シードも獲得した。「意識しないと言ったらウソ」と親交のある好敵手に刺激を受ける。
今月上旬の「ISPSハンダ・ヨーロッパへの道」を制し、主催者推薦で今大会の出場権を獲得した。20年にプロ転向も今季のツアー出場権は持たず、前週の関西オープンはマンデー予選会を勝ち抜いてプロデビューしたが予選落ち。プロ2戦目で巡ってきたチャンスに「ありがたい。ものにしたい。松山選手のようになれれば」。ツアー初の21世紀生まれVで歴史に名前を刻む。
(榎本 友一)
◆主な左打ちプロゴルファー
▽国内男子ツアー 日本人では81年日本オープン、81年日本シリーズなど通算5勝の羽川豊が有名。15年のメジャー、日本プロ選手権覇者のアダム・ブランド(豪州)、18年のレオパレス21ミャンマー・オープン優勝のポール・ピーターソン(米国)もいる。
▽米男子ツアー 03年にマイク・ウィアー(カナダ)がメジャーのマスターズを左打ち選手で初制覇。フィル・ミケルソン(米国)は04、06、10年とマスターズを3度制して05年全米プロ選手権、13年の全英オープンも制覇。12年、14年のマスターズを制したバッバ・ワトソン(米国)らもいる。
◆細野 勇策(ほその・ゆうさく)2003年1月9日、山口県生まれ。19歳。父の影響で6歳でゴルフを始め、小学6年時に全国小学校選手権で優勝。18年の全日本アマチュアゴルファーズ選手権優勝。平均飛距離290ヤード。177センチ、74キロ。血液型O。