高橋彩華 涙の初優勝の裏に‟百獣の王”武井壮の助言「その位置にいるだけですごいじゃん」


悲願の初優勝を決めインタビューでうれし涙を流す高橋彩華(カメラ・今西 淳)

悲願の初優勝を決めインタビューでうれし涙を流す高橋彩華(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー フジサンケイレディス 最終日(24日、静岡・川奈ホテルGC富士C=6447ヤード、パー71)

 首位からスタートした23歳の高橋彩華(東芝)が5バーディー、3ボギーの69で回り、通算12アンダーで悲願の初優勝を飾った。10回目の最終日最終組。首位で迎える最終日は6回目。ついに勝ち切り、雨の中、うれし涙を流した。1998年度生まれの「黄金世代」として、先週のKKT杯バンテリンレディスで勝った植竹希望(サーフビバレッジ)に続き、11人目の優勝者となった。

 2打差の2位は36歳の藤田さいき(チェリーゴルフ)。前半終了時に一時は首位に立った21歳の安田祐香(NEC)は3位だった。

 高橋が「お化け」に打ち勝った。コロナ禍のため統合された20―21年シーズンで21回もトップ10入り。今季も7試合で3回もトップ10に入っているが、3度の2位が最高で、優勝だけには手が届いていなかった。この日も1、2番で連続ボギーの最悪のスタートになった。

 「今まで出ないお化けを怖がっていました。きょうも、1、2番で、お化けが出てきた。でも、自分に『逃げんじゃねー!』と言い聞かせました」

 続く3番パー4。残り150ヤードの第2打を6アイアンでピン1メートルにつけてバーディー。「ピンに向かって打つことができました」。続く4番パー5でも残り90ヤードの第3打を50度のウェッジで50センチにつけて連続バーディー。流れを引き戻した。

 川奈名物、最難関の17番パー3は第1打をグリーンセンターに確実に乗せた。この日のピン位置は170ヤード。「ちょうどいいクラブがなかった。下の番手の4ユーティリティーで思い切り振り切りました」。バーディーパットをカップ手前20センチへ。「お先にパー」で安全に乗り切った。

 そして、最後の難関18番パー4。50センチのパーパット。「普段なら、何てことない距離なのに緊張しました」。ウィニングパットがカップど真ん中から沈んだ瞬間、感激の涙を流した。

 「お化け」に打ち勝った裏には「百獣の王」武井壮のアドバイスがあった。

 1997年の陸上十種競技の優勝者で、現在は日本フェンシング協会会長。一時はプロゴルファーを目指したこともある武井と今年1月に雑誌の対談で対面。惜しいところで、優勝を逃し続けてきた高橋に武井は言ったという。

 「その位置にいるだけですごいじゃん」

 その瞬間、高橋の考えが変わった。「自分は弱いと思っていましたが、視点が変わりました」と明かした。

 自身の強さを信じられた高橋は確かに変わった。

 「これまで最終日最終組で9回も負けてきました。その中でも今まで一番、悔しかったのは昨年のワールドレディスサロンパスカップです」。単独首位で迎えた最終日に74を苦戦し、5位に終わった。2週間後、そのメジャーがやってくる。「1年前のリベンジをしたいです」ときっぱり言い切った。

 さらに続けた。「賞金女王、ツアーのチャンピオンを目指したいです」

 ◆高橋 彩華(たかはし・さやか)1998年7月24日、新潟市生まれ。23歳。10歳からゴルフを始める。新潟・開志国際高3年時の2016年、日本女子アマ優勝。北京五輪男子スノーボードハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢(23)は高校の同級生。高校卒業後の18年、プロテストに2度目の挑戦で合格。19年に5528万9178円を稼ぎ、賞金ランク19位で初シード獲得。昨季は21度のトップ10入りなどで1億884万円で賞金ランク11位に躍進した。日本ウェルネススポーツ大に在学中。家族は両親と弟。162センチ、55キロ。

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