◆女子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第1日(5日、茨城・茨城GC西C=6680ヤード、パー72、報知新聞社後援)
ツアー1勝の山下美夢有(みゆう、20)=加賀電子=が8バーディー、ボギーなしで、西コースの大会コースレコードとなる64で回り、8アンダーの首位発進を決めた。大阪から駆けつけた家族の前でロケットスタートに成功。2001年生まれの「21世紀世代」では笹生優花、西郷真央に続く複数回優勝、さらにその2人も成し遂げていない同世代初の国内メジャー制覇を狙う。3打差2位に永峰咲希(27)=ニトリ=がつけた。
最後まで、山下は表情を崩さなかった。18番をきっちりパー締め。全選手の平均スコアが74・6583の中、ツアー自己ベストで、従来の大会コース記録を1打更新する64をマーク。「終わって知ったので、そこまで考えてはいなかった。うれしい気持ちと、自信にもつながった」。浮かれず、喜びを静かにかみしめた。
隙を見せなかった。セカンドを中心にショットの距離感が抜群で「ショット自体良かったが、一番は縦距離。パッティングにもつながってくれた」。ベタピンの12番など、沈めたバーディーパットの6本が3メートル以内。「スイングに力が入ると速くなるので、練習場と同じリズムで打てるように。本当に集中していたと思う」と、少し胸を張った。
3戦連続で予選落ちしていたが、引きずらなかった。あえて技術面はいじらず、先週の試合後には好物の焼き肉を頬張り、「おいしいものを食べて切り替えて。この試合にどう挑むかだけ考えた」。淡々と答える20歳は「それで(予選落ちを)忘れてできる?」との問いにも、「はい」と即答した。
同期の笹生は主戦場を移した米ツアーで奮闘中で、国内では西郷が今季初優勝からV4まで伸ばして躍進。刺激を受ける存在なのは間違いないが、「自分のプレーをしっかりやっていけたらいい」と信念は強い。
ようやく頬を緩ませたのは、この日46歳の誕生日を迎えた母・有貴さんの話題だ。一緒に買い物に出かけ、何でも相談できる仲。毎年、誕生日にはプレゼントを贈る。大会中でまだ渡せていない今年も、アクセサリーを予定していると明かした。
「まだ初日だけど、いいプレーを見せられた」。一足先に本業で好結果を届けた孝行娘。初優勝した昨年のKKT杯バンテリンレディスは4月18日で、少し早い母へのお祝いになった。今大会の最終日は「母の日」。世代初の国内メジャー制覇が最高のプレゼントになる。(宮崎 尚行)
◆初優勝時に贈ったスニーカー
両親、妹の前で大会コースレコードを記録した山下はこの日朝、滞在先のホテルで母に「ママ、誕生日おめでとう」と祝福した。「頑張れとは言わなかった。(気持ちは)分かっているから」と有貴さん。「3週続けて予選落ちして(家では)落ち込んでいる様子だったけど、久しぶりに来て楽しく見させてもらった」と、子ども時代から「元気いっぱいだった」という娘に感謝した。
昨年4月の初優勝時には両親にスニーカーを贈った。母が「大事にしたいから」と履かないでいると、「何で履いてくれんの?」と怒られたそうで、1度履いてから、また袋に入れて大切にしまってあるという。(岩)
山下の父・勝臣(まさおみ)さん(幼少時からコーチとして、スコアではなくマナーの面で厳しく指導)「前半5バーディーで、後半も同じで(母の誕生日の)“5・5”になるかと思ったけど“5・3”やった」