渡辺彩香2年ぶりVで「ひそかな夢」かなう「優勝したら夫とグリーン上で写真」昨年高校同級柔道家と結婚


柔道家の夫・小林悠輔と共に記念写真におさまる渡辺彩香(カメラ・馬場 秀則)

柔道家の夫・小林悠輔と共に記念写真におさまる渡辺彩香(カメラ・馬場 秀則)

◆女子プロゴルフツアー ほけんの窓口レディース 最終日(15日、福岡CC和白C=6299ヤード、パー72)

 単独首位で出た渡辺彩香(28)=大東建託=が、昨年2月に結婚後初となる通算5勝目を挙げた。6バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの71で回り、大会コース記録(2013年以降)となる通算11アンダーで並んだ高橋彩華(さやか、23)=東芝=をプレーオフ(PO)2ホール目で下した。柔道家の夫・小林悠輔(28)からの言葉を支えに、20年6月のアース・モンダミンカップ以来のタイトルを手にした。

 PO2ホール目、渡辺が放った15メートルフックラインのバーディーパットは吸い寄せられるようにカップに消えた。「あんなにきれいに入るとは。思った通りに打てた完璧なパッティングだった」。ガッツポーズで勝利を確信すると、高橋の8メートルのパットが外れ、最愛の夫・小林悠輔の前で“ミセス初V”を成し遂げた。

 ホールアウト後は夫とハグで喜び「目の前で勝つのを見せてあげたいと、ずっと思っていた。姿を見たら、よりうれしさを感じた」と興奮気味に語った。夫は埼玉栄高の同級生の柔道家で、昨年2月26日に結婚。「アスリートとして気持ちを分かってくれる」と信頼するパートナーに初めて勝利を届けた。

 今季4度目の最終日最終組。2差首位で出ると、5番までに4バーディーで後続を4打リードした。8番で第1打を右にOBで痛恨のダブルボギー。「勝っても負けても後悔がないように。気持ちの乱れはなかった」。後半は一進一退で18番で高橋に並ばれたが「アクセルを踏んで、一瞬でも離さないように」と攻めのゴルフを貫いた。

 3月の開幕戦ダイキンオーキッドレディスで最終日に75で逆転負け(4位)するなど、2年近く頂点が遠かった。今季初めて予選落ちした前週のメジャー後、夫にもどかしい気持ちを打ち明けた。「俺からしたらアスリートとしていろいろ悩めるのは幸せだよ」と言葉をかけられ「大きい一言だった」と感謝した。プレーでもコーチ、トレーナーらで構成するチームの話し合いで「最近、思い切りが足りない」と気づかされた。

 これで年間女王を決める試合ごとの獲得ポイントを計513・30ポイントとし、ランク6位に浮上。「日本のツアーで頑張っている以上は1番になりたい」。夫の存在を支えに、初の年間女王へ勝利を重ねる。

(岩原 正幸)

 ◆彩香に聞く

 ―約2年ぶりの優勝。

 「今季は開幕から悔しい思いをしていた。最終日も中盤から苦しかったけど、勝ててうれしい」

 ―これまでの4勝とは違う?

 「優勝したら(夫と)グリーン上で写真を撮ってもらうのが、ひそかな夢だったので、できて良かった(笑い)」

 ―久しぶりに観客の前で優勝した心境は?

 「今日は原英莉花ちゃん、小祝さくらちゃんと一緒でギャラリーさんも多い中プレーして、幸せで楽しいなと感じた」

 ―今後の目標は?

 「ベテランという感じになってきているので、経験をした分、いい試合をたくさんしたい」

 ◆渡辺 彩香(わたなべ・あやか)1993年9月19日、静岡・熱海市生まれ。28歳。10歳でゴルフを始め、埼玉栄高卒業後の2012年7月、プロテストに一発合格。14、15年に3勝し、15年は賞金ランク自己最高の6位。13年から5年賞金シードを保持したが18、19年はドライバーショットに苦しみ2年連続でシード落ち。20年6月のアース・モンダミンカップで4勝目を挙げて昨季は賞金ランク14位。172センチ、65キロ。

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