◆女子プロゴルフツアー ▽リゾートトラストレディス 第3日(28日、山梨・メイプルポイントGC=6580ヤード、パー72)
第2ラウンド(R)の残りと第3Rが行われた。第3Rを19位で出た、1998年度生まれの“黄金世代”河本結(23)=リコー=が今季ツアー自己最少の66と伸ばし、通算10アンダーで6差4位に急浮上した。男子プロの弟・力(22)からも初めて指導を受け、ショットが復調。日没順延となった第2Rと合わせて、27ホールの長丁場を乗り切り、逆転で19年3月以来のツアー2勝目を狙う。同じく黄金世代の小祝さくら(24)=ニトリ=が大会コース記録に並ぶ64で回り、16アンダーで通算7勝目に王手をかけた。
河本の目に、自信が戻ってきた。第3Rの1番パー5。残り220ヤードから5ウッドで2オンし、奥から5メートルを沈めてイーグル。勢いよく飛び出した。生命線のショットにキレが戻り、11番で1・8メートル、13番では2メートルにいずれも8アイアンでつけてバーディーを重ねた。今季自己最少スコア66で4位に急浮上し「自分のゴルフを取り戻せてきた」と笑みがこぼれた。
悪天候の影響で日没順延となった第2Rと合わせて、計27ホールの長丁場を乗り切った。この日は午前3時15分に起床。同6時45分にスタートし、午後4時半にホールアウトした。長い、長い1日を終えて「疲労とか言っている立場ではない」と気丈に振る舞ったが、さすがに左目は充血。それでも「(予選を含めて)4日間戦えて感謝している」と充実感がまさった。
19年3月にアクサレディスで初優勝し、畑岡奈紗らに続く黄金世代として、注目を浴びた。20年の米女子ツアー参戦中にショット精度を求めてスイング改造に着手。だが、長距離移動など異国での生活環境になじめない中、新スイングも「迷路でした」と振り返る。今季も4月中旬までの開幕7戦中5試合で予選落ちと苦戦。「私、このままじゃ終わるわ」。19年と比べてパーオン率は72・58から62・04%に急降下していた。
苦境で頼ったのが男子プロで1歳下の弟・力だった。4月に入り、練習場で「恥ずかしいけど、マジで教えて」と、一番身近な“先生”に初めて指導を仰いだ。ショットで「インパクトゾーンは長く、フォローは小さく」と助言され、そこから5戦連続の予選通過。今大会は上位争いし、「自信がつく」と胸を張った。
「どん底を経験し、はい上がるしかない。私が上位にいないと盛り上がらないでしょ?の思いでプレーしている」。強気な言葉とともに、目にも力が宿った。3年ぶりの通算2勝目へ、同じ黄金世代の首位・小祝の背中を追う。
(宮下 京香)
◆河本 結(かわもと・ゆい)1998年8月29日、松山市生まれ。23歳。5歳でゴルフを始め、松山聖陵高から日体大に進み、昨春に卒業。18年プロテストに一発合格し、19年のアクサレディスでツアー初優勝。20年は米女子ツアーに参戦。昨年5月に同ツアーから撤退し、リゾートトラストレディスで国内復帰。163センチ。家族は両親と弟。