大西葵初日のキャディー“職務放棄”トラブルにも負けず予選突破!新相棒に感謝「いつもと変わりなくできた」


大西葵(右)は5番ホールでティーショット前に大江順一キャディー(左)と話合う(カメラ・岩田 大補)

大西葵(右)は5番ホールでティーショット前に大江順一キャディー(左)と話合う(カメラ・岩田 大補)

◆女子プロゴルフツアー アース・モンダミンカップ 第2日(24日、千葉・カメリアヒルズCC)

 第1ラウンド(R)で帯同の男性キャディーによる職務放棄を受けた、大西葵(27)=YKK AP=がカットライン上の63位で予選突破を決めた。強風の影響で全体的にスコアも伸びなかった中、121位から出て2バーディー、3ボギーの73で粘り、通算4オーバー。前日のトラブルを乗り越える意地を見せた。ささきしょうこ(26)=日本触媒=が72の6アンダーで首位。

 大西が冷静に18ホールを乗り切った。最終9番をパーで終え、第1Rの途中で交代し、第2Rは18ホールでキャディーを務めた用品メーカー担当者の鵜野晃行(あきゆき)氏(44)とクラブハウスに引き揚げ、安どの表情を浮かべた。最大風速19・6メートル(24日午後3時9分観測)の強風下で、アンダーパーは棄権を除く142人中3人だけ。73と粘る会心プレーで予選カットライン上で突破。「風だけに集中してできた」と淡々と話した。

 23日の第1R、17番で、帯同キャディーの大江順一氏との間で“トラブル”が起きた。大西の2打目のミスの後、大江氏がこのミスに怒った様子を見せ、バッグを運ばない“職務放棄”と見られる行為があったという。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の説明では、第1R前半の「18番ティー」で、大西が競技委員に帯同キャディーの交代を申し出た。規定に従いトーナメント事務局の承認を得て、コーチの石井忍氏に交代。JLPGAによると体調不良以外での交代は異例という。大江氏が去った後、大西が涙を流し、18番の第1打では構えてから打つまで約1分を要した。その後、石井氏が体調不良となり、4番から鵜野氏がバッグを担いだ。大西は「協会に任せており、いろいろ確認中」と話すにとどめた。

 不本意な形で注目を集めた中で第2Rに臨んだ。午前10時頃に来場し、午後12時15分のスタートまでいつも通り調整した。1番のティーグラウンドでは同組選手と会話を弾ませ、笑顔も見せた。1番で5メートル、8番で6メートルを決め切り、2つのバーディーを奪った。“臨時”キャディーの鵜野氏も「すごい」とたたえた。同氏は約15年前に男子ツアーでキャディーの経験があるが、大西は「いつもと変わりなくできた。助かった」と強調した。

 決勝Rも鵜野氏とのタッグを継続する。「あとの2日間も感謝して(スコアを)伸ばせるように頑張ります」と気持ちを入れ直した。(宮下 京香)

 ◆大西の帯同キャディー交代への経緯

 〈1〉17番(パー4)で大西が第1打を左ラフに入れ、2打目でミス。球は右方向に飛んでいき、池付近のペナルティーエリアへ。

 〈2〉帯同キャディーの大江氏が大西のミスに怒った様子でバッグを2打目を打った地点に置いたまま、球の方へ歩いた。JLPGAの規則では選手のセルフプレーは許されず、大西自らがバッグを運べず。大西が困惑する様子を見た同伴競技者のキャディーが大西のバッグを3打目の地点まで運んだ。

 〈3〉大西は3打目の前に、球の前にスポンサーの看板があり、競技委員を呼び「看板の前から救済できるか」を確認。

 〈4〉ルール上、救済できないと確認し、3打目をそのまま打ち、4打目でグリーンに乗せてボギーに。

 〈5〉18番のティーショットを打つ前に涙を見せながら帯同キャディーの交代を競技委員に申し出た。

 〈6〉大江氏は交代後、コースを離れた。

 ◆大西 葵(おおにし・あおい)1994年7月13日、千葉・我孫子市生まれ。27歳。9歳でゴルフを始め、千葉学芸高卒業後の2014年7月のプロテストに合格。19年に賞金ランク43位となり、初の賞金シード。ツアーで自己最高成績は19年日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯2位。昨年1月に男子プロの伊藤有志と結婚。同9月に第1子を出産。今季は「産休制度」でツアー出場。163センチ。

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